「冷えは万病のもと」を知ってカラダの内側から改善|「身体を温める食材」の意味を現代栄養学から考察

「冷えは万病のもと」を知ってカラダの内側から改善|「身体を温める食材」の意味を現代栄養学から考察

皆さまこんにちは。前回は冷え性の私が現在心がけていることを7つご紹介いたしました。毎日体温を測って記録することで自分の平熱を知ることができたこと、今のところ平熱が加齢により下がることなく微増していること。そしてそれをどんな方法で実践しているかをお伝えいたしました。冷えに悩まされている私にとって改善傾向にあることはとても喜ばしいことです。
寒さに震えて厚着をし暖房をつけて冬をじっとやり過ごす例年ですが、できれば冬の寒さに強くなるところまでを目指したいと思っています。

目次

寒かったら熱を逃がさない機能が人間には備わっている

人間は体温を測り平熱かどうか確認しますがそれは表面温度であって心臓付近はおよそ37℃で安定しています。人間の身体は精巧に作られていてこの温度が外部環境により左右されないよう調節機能が備わっています。外部気温が高い時は血管を広げ汗をかいて放出し、体の表面から熱を逃がします。低い時には末端の細い血管が縮まって温かい血液を流しにくくし、体の表面から熱を逃がさないようにします。
私のような寒がりは、厚着をして暖房をかけて熱を逃がさないようにとガードすればするほど私の身体は熱を逃がそうと働いてしまうのではと思っています。これでは本当の改善にはならないと思いますので、末端までの血行を良くし手足の冷えを改善することに力を入れたいと勉強しているところです。

しもやけは何で女性や子供に多いの?

snow child girl cold children 661642
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「しもやけ」は簡単に言うと寒さのために血行が悪くなり生じる炎症です。主に手や足、耳たぶ、鼻、頬などに、症状としては痛みやかゆみ、熱さといった赤い湿疹や腫れが生じる現象を指します。膨れて硬くなったりする状態を見たこともあるのではないでしょうか。医学用語は「凍瘡(とうそう)」と言います。

しもやけは女性や子供に多いと言われます。
まず子供がしもやけになりやすい原因は、寒い季節に遊んでいると汗をかきますがそれが冷えても気にせず夢中になって遊んでいることがあります。靴下や手袋が濡れてそのまま放置してしまうことでしもやけになりやすいと言われています。
そして女性に多いのは、冷え性などの体質が女性に多いからと言えるでしょう。決して女性全員に当てはまる訳ではありませんし男性でしもやけになる方もいます。ハイヒールのような足の先を圧迫するような状態でもしもやけになりやすいため傾向として女性に多いと言われるということです。

またしもやけは遺伝するとも言われています。気温による血管の反応が遺伝するとは信じがたいですが、このように体質や遺伝によってなりやすいしもやけ。その時の外部要因としては「一日の気温差」と「皮膚表面の温度」です。
血管は冷えると収縮し、温まると広がります。こうして気温に合わせて体温を一定に保とうとする働きがありますが、寒かったのが暖かくなると、動脈が早く拡張するのに対して静脈は遅れます。それが何度も繰り返されることで調節機能がうまくいかなくなり手足など血管が細い四肢末端の毛細血管は血流が滞りやすくなり炎症を起こしてしまうのです。このように体温調節がうまく働かないと腫れやかゆみといった症状が出るのです。

しもやけの治療や予防法に共通して取り入れられること

治療には血の巡りを良くするためにビタミンEを含んだ塗り薬や錠剤が使われます。初期の軽いものならビタミンEを多く含む食品を食べることにより1週間程で治ることもあるのだとか。予防も同様で、ビタミンEの摂取が推奨されます。
このことから分かるように「血行を良くする食材」を意識して摂取することは末端の冷え改善に期待できるという訳です。前回の記事でも食材について少し触れましたが、身体を温める食材、すなわち血行を良くする食材を摂ることはしもやけの予防や治療と共通していると言えますね。
簡単にビタミンEの期待される作用をご紹介いたします。

✓ビタミンE
抗酸化作用が高く末梢の血管を拡張させて血行をよくすることで新陳代謝を高め、血液のドロドロ化を防いでくれると言われています。また不飽和脂肪酸の酸化を防いでくれることなどとても大切な働きをしてくれます。さらに自律神経のバランスを整える働きがありますので体温調節機能にも期待できます。

(ビタミンEを多く含む食材)
落花生、アーモンドなどのナッツ類、魚類(うなぎ、たらこ、ぶりなど)、かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリー、モロヘイヤ、油脂など

厚生労働省 日本人の食事摂取基準2020

1 基本的事項
1─1 定義と分類
 ビタミン E には、4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの合計8種類の同族体が知
られており、クロマノール環のメチル基の数により、α─、β─、γ─及びδ─体に区別されている。
 血液及び組織中に存在するビタミン E 同族体の大部分がα─トコフェロールである。このことよ
り、α─ トコフェロールのみを指標にビタミン E の食事摂取基準を策定し、α─ トコフェロールと
して表すことにした

1─2 機能
 ビタミン E は、生体膜を構成する不飽和脂肪酸あるいは他の成分を酸化障害から防御するため
に、細胞膜のリン脂質二重層内に局在する。動物におけるビタミン E 欠乏実験では、不妊以外に、
脳軟化症、肝臓壊死、腎障害、溶血性貧血、筋ジストロフィーなどの症状を呈する。過剰症として
は、出血傾向が上昇する。通常の食品からの摂取において、ビタミン E 欠乏症や過剰症は発症し
ない

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何で「身体を温める食材」なのか考えてみた

・冬に採れる食材
・寒い地域で作られる食材
→ビタミン類やミネラル類が豊富で血行促進に期待できる

・土の中で育つ食材
・発酵食品 など
→食物繊維や酵素が豊富で腸内環境の改善に期待できる

簡単にまとめましたがこれらは前回の記事で「身体を温める食材」と、私なりにご紹介いたしました。これを補足すると、例えば冬が旬のかんきつ類ですがかんきつ類と言えばビタミンCが豊富です。ビタミンCには血行を良くする作用が多く期待されます。他にも冬が旬の食材にはβカロテンほかビタミン類が豊富で、このように旬の食材を注目してみるとビタミン類やミネラル類が豊富な食材があり、血行促進に期待ができます。
また土の中で育つ食材は食物繊維の多い根菜類が多くあります。食物繊維や発酵食品によって腸内環境が改善されると自律神経も整い交感神経と副交感神経のバランスにも一役買ってくれます。免疫力アップも期待され老廃物を排出してくれるため血行が良くなることが期待されます。

簡潔にまとめると身体を温める食材の特徴はこのように言い換えることができるのではないでしょうか。
・ビタミン類やミネラル類を多く含む食材
・食物繊維を多く含む食材
・酵素を摂り入れられる食材

「身体を温める食材」とはつまり「血行を良くする食材」

タイトルにあるように、「身体を温める食材」の意味を現代栄養学に当てはめて解説するとこういうことなんじゃないかなと私は思っています。現在、ネットで検索すると身体を温める食材がどんなものかたくさんの情報が出てきます。ただしそれは「陰」と「陽」の食材分類、いわゆる食材の「陰陽表」で知ることが多いのではないでしょうか。これは中医学の考え方です。西洋医学での現代の栄養学には陰も陽もありません。紀元前から存在する伝統的な中医学の世界は、ちょっと調べた程度で理解できるようなものでもないと私は思っています。ただ、現代栄養学と比較検証して自分なりに考察することはできます。まだ科学的根拠も示すことが出来なかった時代から「これは陽の食材」「これは陰の食材」などと見定めることが出来たのですから、言葉にするのは軽々しいと躊躇してしまうほど尊いものだと思います。共通点として言えるのは旬の食材をその季節に食べることが人間の身体にとって理にかなっているということ。冬の食材を冬に食べると血行がよくなり、結果、冷え体質の改善にも繋がるとの教えなのではないかと私は思っています。

瞬間的に身体を温めたいなら鍋や麺類を摂ればすぐに温まりますよね。お茶もコーヒーも、陰陽表では「陰=身体を冷やす」と分類されていますが、私にとっては瞬間的には身体が温まります。リンゴは「陽」と言いますがカットして冷蔵庫に入れておき、取り出して食べると口に入れた瞬間顔に鳥肌が立ち食道周辺からヒヤッとする感覚があります。瞬間的には身体が温まるとはとても思えません。それよりも「陰」と言われているバナナの方が常温保管しているため、食べて冷える感覚は私にはありません。
バナナは南国で作られる果物でカリウムが豊富なため陰の分類にされているのではないかと思っています。寒い地域で作られるリンゴはビタミンが豊富なため陽の分類にされているのではないでしょうか。
大豆もそうです。大豆は陰の分類のようで身体を冷やしたくなければ豆腐は食べるなとばかり言うサイトも見受けられます。私の場合は夏は冷奴で、冬は味噌汁や湯豆腐など温めて食べます。それで良いのではないでしょうか。身体を冷やすと言われる食材を食べてはいけないということではなく、どの食材にも大切な栄養素が含まれています。熱中症になりかけそうな、うだるような蒸し暑い時の球場でクーリッシュが無料配布された時は身体中の火照りが一瞬で引いたような気がして命拾いをしたような感覚でした。それだけ蒸し暑くだるくとても辛かった状態を我慢していたのだと感じました。よく内臓を冷やしてはいけないと言いますがそれは時と場合によっては冷たいものが必要な時もありますよね。
夏野菜には水分含有量が多くまたカリウムを多く含む食材が多いことから利尿作用が期待されてのことかと思います。尿を排泄することで放熱に繋がるためそう言われるのかと思っております。また夏野菜にもビタミンCを多く含む食材や果物がたくさんあります。ビタミンCは血行をよくするだけでなく様々な作用があるため抗酸化作用はじめ夏バテや熱中症予防にも効果的です。つまりその時に採れる食材はその気候に合った必要な栄養素を摂取できると思っています。現代ではどんな食材も通年を通して収穫できるようになり、また保存もきくようになりました。
通年を通して様々な食材が食べられるようになった現代だからこそ、「旬の食材を食べましょう」と紀元前から考えられてきた偉大なる学説が現代に響くのではないでしょうか。

ビタミンC摂取の作用については以前の記事に記載いたしましたので、こちらもご覧頂けたらと思います。

ビタミンCの作用

ビタミンCの話|私たちに不可欠な栄養素 – ピューレの森 (puree-nomori.com)

何でサウナのあとの水風呂は身体がポカポカするの?

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しもやけの治療法に「40℃くらいの温かいお湯と冷たい水を交互につけて血行をよくする」とあります。その原理がサウナのあとの水風呂だと思います。
私は昔サウナは苦手でした。息苦しい感じが苦手だったのですが、7年前のある日、朝4時から夜8時まで休憩も取れずにヘルプで働きづめの時がありました。それも立ち仕事です。一度に7名の職員が辞めて「明日から3日間くらいヘルプで行って欲しい」と会社から指示があり行ったのですが、結局完全に抜けられたのは一年後という悲惨な状況でした。訳も分からず時間に追われながら長い一日を何とか対応するという日が数日間続き、ある日、この疲れ切った体を何とかして早く寝たいと思ってスーパー銭湯に行った時、何となくサウナに入ってみようという気になったのです。身体が徐々に熱くなり5分、10分と過ごして、その後これまで絶対に入れなかった水風呂に勇気を出して入ってみました。一気に疲れが取れ、その日の夜はぐっすり眠れて、また次の日も頑張れました。それからサウナが好きになり、サウナに入るというよりもそのあとの水風呂が病みつきになって入るようになりました。この交代浴が血行を良くするのですね。末端まで血行がよくなって老廃物や疲労が排出できるからスッキリして疲れが取れたのだと実感しています。それ以来、お風呂に行く時はサウナにも毎回入るようになりました。
原理としては本来人間の持つ力で、深部体温は37℃くらいに保たれているとお話しましたが、身体が寒さを感じると寒冷刺激により身体の内部が体温を保とうとする働きがあるのです。逆に暑かったら放熱して体温を下げます。この寒さを感じさせて体温を維持させようと働く力を引き出すのです。血管が収縮と拡張を繰り返すことで血行が良くなり末端まで温かい血流が流れ、さらに老廃物が排出されるため疲れも取れるという訳ですね。

さいごに|冷え対策は外から温めてやり過ごすだけでなく、内側から自分のチカラを引き出すことが大切

繰り返しになりますが私は子供の頃から慢性的な冷え体質で、特に手足の冷たさには耐えられません。まだしばらく寒さとの闘いにはなりますが、防寒着を着用して目先の寒さ対策をしつつ、寒さに負けない身体作りを目指したいと思います。加齢に伴い基礎体温も下がっていくのが「老化」というものですが、寒さに強い人、弱い人、体質の違いはあっても少しでも改善をと継続すれば加齢と反比例して基礎体温を維持することができるのではないでしょうか。
そのためにはサウナのあとの水風呂理論、すなわち寒冷刺激も与えながら今年の冬も乗り越えたいと思います。本日も最後までお付き合い下さいまして、有難うございました。