皆さまこんにちは。これまで冷え改善のためのお話をしてきました。血行を良くすること、筋肉量を増やすことなどで内側から改善することを目指して生活習慣に取り入れています。
ネット上ではよく冷え改善のために身体を冷やす食材と温める食材の紹介を目にしますが、私は身体を冷やすと言われる食材についてはあまり気にしていません。旬の食材を中心にバランスよく食べられることの方が理想的ではないかと考えています。身体を冷やすと言われている食材よりも、血液がサラサラになるような食材を意識して摂取するよう心がけています。主に発酵食品と食物繊維の摂取を意識し、同時にビタミン類やミネラル類も不足しないよう心がけています。本日はその中でもビタミンEのお話をしたいと思います。
目次
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ビタミンEの特徴
ビタミンEは1920年代に不妊治療の研究中に発見された栄養素で化学名で「トコフェロール」と命名されました。ギリシア語の<tocos:子を産む>、<phero:力を与える>という言葉が由来となっています。現在もさらなる研究が進められていますが結果は男女ともに効果があるとされています。
そして厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準2020」にはこのように説明されています。
③ビタミン E
1 基本的事項
1─1 定義と分類
ビタミン E には、4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの合計8種類の同族体が知
られており、クロマノール環のメチル基の数により、α─、β─、γ─及びδ─体に区別されている。
血液及び組織中に存在するビタミン E 同族体の大部分がα─トコフェロールである。このことよ
り、α─ トコフェロールのみを指標にビタミン E の食事摂取基準を策定し、α─ トコフェロールと
して表すことにした(図 4)。1─2 機能
ビタミン E は、生体膜を構成する不飽和脂肪酸あるいは他の成分を酸化障害から防御するため
に、細胞膜のリン脂質二重層内に局在する。動物におけるビタミン E 欠乏実験では、不妊以外に、
脳軟化症、肝臓壊死、腎障害、溶血性貧血、筋ジストロフィーなどの症状を呈する。過剰症として
は、出血傾向が上昇する。通常の食品からの摂取において、ビタミン E 欠乏症や過剰症は発症し
ない。1─3 消化、吸収、代謝
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摂取されたビタミン E 同族体は、胆汁酸などによってミセル化された後、腸管からリンパ管を
経由して吸収される。ビタミン E の吸収率は、51〜86% と推定された 85)が、21% あるいは 29
% という報告 86)もあり、現在のところビタミン E のヒトにおける正確な吸収率は不明である。
吸収されたビタミン E 同族体は、キロミクロンに取り込まれ、リポプロテインリパーゼにより
キロミクロンレムナントに変換された後、肝臓に取り込まれる。肝臓では、ビタミン E 同族体の
うちα─トコフェロールが優先的にα─トコフェロール輸送たんぱく質に結合し、他の同族体は肝細
胞内で代謝される。肝細胞内をα─ トコフェロール輸送たんぱく質により輸送されたα─ トコフェ
ロールは、VLDL(very low density lipoprotein)に取り込まれ、再度、血流中に移行する 87)。
特徴のまとめ
・ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種。
・8つの種類が存在するが体内に存在するビタミン E 同族体の大部分がα─トコフェロール。
・算定はα─ トコフェロールのみを指標にビタミン E の食事摂取基準を策定している。
・細胞膜や脂質に多く含まれている。脂質とともに腸管からリンパ管を経由して体内に吸収される。
・通常の食品からの摂取においてビタミン E 欠乏症や過剰症は発症しない。
期待される作用のまとめ
✓抗酸化作用
・不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ。そのため動脈硬化予防に繋がる。
・しみ、シワを予防することから「若返りビタミン」とも言われる。
・活性酸素による過酸化脂質を抑制することから老化防止や生活習慣病の予防が期待される。
✓免疫機能を高める
・多価不飽和脂肪酸の過酸化を防止し、細胞傷害と誤った免疫応答を防ぐ。
・T細胞機能は加齢とともに生産減少し衰えるが、ビタミンEにより免疫への影響が改善される。
✓血管拡張促進
・毛細血管を広げて血行を良くする。
・血管内で血液が凝固するのを阻害しドロドロ血液をサラサラにする。
・血管自体の柔軟さを保つ。
・しもやけの治療として、血の巡りを良くするためにビタミンEを含んだ塗り薬や錠剤が使われる。
✓ホルモン分泌を司る脳下垂体や、自律神経に作用する
・ストレスホルモンなど様々なホルモンバランスを調整する。
・自律神経を調整し安定させることで、血圧や感情をコントロールしてくれる働きがある。
・黄体刺激ホルモンの分泌量を整え月経不順を安定させる。男女ともに不妊にも効果がある。
✓ビタミンAの酸化を防ぐ働きがある
1日当たりのビタミンE摂取の【目安量】
食事摂取基準2020年では、1日当たりのビタミンEの摂取の目安量としてこのように設定されています。
【男性】 | 18歳~49歳:6.0㎎ | ー | 50歳~74歳:7.0㎎ | 75歳以上:6.5㎎ |
【女性】 | 18歳~29歳:5.0㎎ | 30歳~49歳:5.5㎎ | 50歳~64歳:6.0㎎ | 65歳以上:6.5㎎ |
通常の食品からの摂取において健常人がビタミン E 欠乏症や過剰症は発症しないとされています。
現時点では目安量が設定されています。
「目安量」とは、十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合設定します。一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどないとされています。
また耐容上限量が設けられていますが過剰摂取による健康障害を未然に防ぐ量の指標でありますので基本は目安量程度が摂取出来ていれば問題ないと解釈します。
ビタミン E 欠乏症や過剰症で考えられること
ビタミンEが不足すると…
・抗酸化力が低下するためシミ・シワができやすくなり老化に繋がる。
・血液中のコレステロールも酸化しやすくなり動脈硬化の原因につながる。
・血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まる。
・血行が悪くなるため、冷え性や頭痛、肩こりなどを起こしやすくなる。
・活性酸素を消去できず免疫力が低下する。
・ホルモンバランスが崩れ、糖尿病などの生活習慣病のリスクや月経不順などのリスクが高まる。
・自律神経失調や更年期障害の発症を引き起こす。
ビタミンEを過剰摂取すると…
・血液が止まりにくくなることが知られているが、実際には摂取量の3分の2が便として排出されるため通常の食事の範囲では過剰症はほとんど起こらない。
とはいえ研究途上のビタミンEと各種疾病の関連性などを調べると、過剰摂取により良い結果もあれば良くない結果も両方あるようです。長年研究されていていずれ治療に役立つ知見が得られるかもしれません。いずれにしてもどんなものも偏りや摂り過ぎは良くないということですね。
また食事摂取基準2020にはこのように記載されています。
3─3 生活習慣病の発症予防
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ビタミン E のサプリメントを用いた多くの介入試験の結果は、冠動脈疾患発症に対して有用で
あったとする報告と全く効果がないとする報告、さらに、かえって死亡率を増加させるとする報告
まで様々である 98─101)。また、過剰量のビタミン E と骨粗鬆症の関連を示す報告 102)があったが、
動物実験データであり、臨床データの裏付けがないことから、考慮しなかった。以上から、目標量
の設定を見送った。
ビタミンEはどのような食材に含まれているの?
<可食部100g当たりに含まれる成分/日本食品標準成分表2020年版(八訂)>
・落花生(乾)10.0mg、アーモンド(乾)30.0mg
・うなぎ(生)7.4mg、たらこ(生)7.1mg、ぶり(生)2.0mg
・西洋かぼちゃ(生)4.9mg、ほうれん草2.1mg、ブロッコリー3.0mg、モロヘイヤ6.5mg
・ひまわり油ハイリノール39.0mg、オリーブオイル7.4mg
実際に食事として摂取する場合、野菜類からの摂取量が最も多いと言われています。
ぬか漬けって何で作られたの?|昔の日本人の知恵
米ぬかにもビタミンEが豊富に含まれています。精白米と玄米を参考に含有量をご紹介いたします。
・精白米0.1mg
・玄米1.2mg
・米ぬか10.0mg
・米ぬか油26.0mg
玄米を精白米にすると10%程度の米ぬかが出ます。
上記は可食部100g当たりに対する比較となりますが玄米と精白米を比べれば一目瞭然。米ぬかにほぼビタミンEが含まれていることが分かります。
ところで何で昔の日本人は米ぬかを使おうと考えついたのでしょう。
ぬか漬けの歴史は江戸時代初期と言われています。白米を食べる習慣は公家などの上流階級に限られたのですが、この頃より都市部の一般庶民の間でも白米を食べるようになったそうです。一方、地方では白米は正月など特別な日にしか食べられない高級食材で、普段は玄米が主食でした。
この頃から「江戸患い」や「大阪腫れ」と言われる病が都市部で流行り始めたのですが、江戸で体調を崩した者が故郷に帰ると治ってしまったそうです。当時は国民病と恐れられていましたが今となってはビタミンB1不足による脚気であったことがわかっています。当時の人たちは精米の際に出る米ぬかに栄養が豊富であると経験から知り、このぬかを使って漬け込む過程でぬかのビタミンB1が野菜に吸収されるため、ご飯のおかずとして食べ脚気を防いでいたと言われています。
1920年、“栄養学の父”として海外でもその名を知られている佐伯矩医師が世界初の「栄養研究所」(私立)を創設。その後、栄養指導の専門家を育てる世界初の学校として「栄養学校」を設立、卒業生を「栄養士」と名付けるようになりました。国民病であった脚気の原因が精白米食によるものであり、米ぬかが脚気を予防できることが解明されると、七分精米の無洗米を食べることを推奨しました。これにより多くの国民を脚気から救ったという功績が残されています。
余談にはなりますがぬか漬けには様々な説があり、中でもぬか漬け発祥の地として、現代のようなぬか床に米ぬかを使ったぬか漬けが誕生した地域は北九州だとされています。北九州小倉城藩主である細川忠興がぬか漬けを食べ、それを城下の庶民にも伝えたため広まっていきました。福岡県北九州市の小倉城近くにある八坂神社では日本で最も古いとされるぬか床が保存されています。その歴史は約400年とも言われており、現在もなお毎日きちんと手入れをされています。
”ぬか”にこだわり続けて40年の匠|「食べるぬか」
漬物の中でもぬか漬けは特に栄養が豊富と言われています。ぬか自体に豊富なビタミンや乳酸菌、食物繊維、その他有効成分が含まれているからですが、発酵食品として野菜の食物繊維を同時に摂取できることが相乗効果となり「健康漬物」と称されています。効果としては血液がサラサラになり、コレステロール値や血圧、血糖値の安定、老廃物の排出促進効果により疲労回復などが期待されています。
こちらのブログで度々ご紹介しているぬか漬け作りの匠が85歳で健康でいられるのは「ぬかにこだわって」ぬか漬け作りを続けているからではないかなと思っております。そのこだわりの「乳酸発酵白菜ぬか漬け」はぬかを洗い流す必要がなくそのまま食べられる、無添加の美味しいぬか漬けです。
さらに「食べるぬか」も商品として販売しています。食べるぬかって何!?米ぬかを食べるの!?と思いますよね。こちらの御主人が独学で発酵について学び良質な米ぬかを探し、ぬかを洗わずに漬物を食べられるようにと開発しました。そのこだわりのぬかを、ぬかだけで食べられるようにと商品開発しました。初めて試食した時は味の想像もつかず少しドキドキしながら口にしましたが、旨味が凝縮されていてとても美味しかったです。御主人はこれを毎日ティースプーン1杯分をヨーグルトに入れて食べているのだとか。
以前もこのお話をしましたが身体がポカポカするから冬でもコートはいらないというのです。しかもこのお話には続きがあって「本当はジャケットも着なくていいんだけど毎朝電車に乗ると周りの方が心配そうに私の方を見てくるんだ。だから一応羽織ってるんだよ」とのこと。
お肌はツヤツヤでほとんど体調を崩したこともなく、冬でも薄着でいられて小さな文字もスラスラ読める。腕立て伏せも60回できるというから驚きです。いつまでも健康なのはただ単に発酵食品を食べているからではなく、ぬかと発酵食品、野菜の組み合わせに理由があるのではないでしょうか。
「ビタミンエース」のように、ぬか漬けは漬物のエース!?
ビタミンEは脂溶性のため油脂と一緒に摂取すると吸収率がアップします。
またビタミンCは効力の落ちたビタミンEの抗酸化パワーを復活させることができ、さらにビタミンEはビタミンAの酸化を防ぐ力があります。このようにお互いに助け合うことで抗酸化力がパワーアップされるため「ビタミンACE(エース)」とも呼ばれます。同じように米ぬか+発酵+野菜の持つチカラが、乳酸菌+食物繊維+ビタミン類+ミネラル類を同時摂取することによりお互いに発揮され、生活習慣病発症予防になっているのではないかと思っています。
「漬物は塩分が高いから、発酵食品、健康食品って言われても…」と敬遠される方が非常に多いです。もちろん血圧が高めの方に塩分の高いものをお勧めすることは私もできません。しかし御主人のように血管が丈夫で血液サラサラな状態が維持されていたら毎日漬物を食べてもそれだけでは血圧に影響することはないのですね。大切なのは血圧の数字よりも血管が丈夫で弾力があり、血液がサラサラであること。御主人は運動も続けていることや探求心を持って努力されていることなどが健康を維持できているのだと思いますが、塩分の摂り過ぎと言われる現代において塩分摂取量だけを気にすることは違うのではないかと私は思います。
私は子供の頃はぬか漬けが苦手で食べられなかったのですが、ぬかと塩、野菜にこだわって作った無添加のぬか漬けを食べた時はあまりの美味しさに感動しました。最近はぬか漬けを買いにいくことがなかなかできず、悲しいことに毎日は食べられていません。「食べるぬか」とセットで冷蔵庫に常備したいと思います。
血行を良くし、運動して筋肉量を増やし、匠のように健康診断の結果が85歳でも正常…私もこれを目指していきたいと思います。本日も最後までお付き合いくださいまして、有難うございました。