皆さまこんにちは。以前ビタミンCについていくつか記事をご紹介いたしました。本日はその中でも話にありましたビタミンC以外での抗酸化作用を持つ成分の種類をご紹介したいと思います。
カロテン、ビタミンE、リコピン、ポリフェノール、カテキン、アスタキサンチンなど一度は聞いたことのある抗酸化物質が数多くあります。これらは植物中の全ての化学物質を指していて、辞書にはこのように記されています。
ファイト‐ケミカル【phyto chemical】《phytoはギリシャ語で植物の意》野菜や果物に含まれる化学成分。色・香り・苦み・辛みなどの成分で、ポリフェノールをはじめ、体内で抗酸化物質として作用するものが多い。病気の予防効果があるとして研究が進められている。フィトケミカル
ファイトケミカル(phyto chemical)の意味 – goo国語辞書
つまりファイトケミカルという成分があるのではなく、様々な成分の総称を「ファイトケミカル」と呼んでいるのですね。
目次
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植物中の化学物質|ファイトケミカルの種類
「植物中の化学物質」と聞いてもピンとこないかもしれませんが、例えばトマトの赤い色素は「リコピン」という色素成分です。
地球の歴史上、海洋生物から陸へと順応するに当たり進化し、中でも植物は進化の過程において自然淘汰の網をくぐり抜け、海洋生物には見られない抗酸化作用が産生されるようになりました。そういった歴史上の進化を考えた時に植物が紫外線から身を守るために色や香り、苦み、辛みなどを武器として持ち合わせたと考えることができます。そしてこれらの成分は似たような働きをするのではなく成分によって少しずつ異なっているのです。今回は分かり易く代表的なものをご紹介したいと思います。
✓ポリフェノール類(フラボノイド系/その他)
✓カロテノイド類(カロテン類/キサントフィル類)
✓含硫化合物
✓その他
この植物中の化学物質の中でもフラボノイド系だけで何千種類もあり、抗発がん性を期待する物質もあるのですが、化学物質という観点だけで見ると私たちにとっては発がん性となる物質もあります。また喫煙者がβ-カロテンを多量に摂取した場合はがんのリスクが増すことが示されていることなど、理由は解明でいていない研究途上のものも含めて、総称でファイトケミカルスと呼び、全体的には1万種類にもなると言われています。
「第七の栄養素」とも「第八の栄養素」とも言われるファイトケミカル
毎回同じような話になるのですがファイトケミカルは必須栄養素ではありません。
栄養素の分類の基礎を少しお話しすると、昔は「炭水化物」「タンパク質」「脂質」のことを「三大栄養素」と呼んでいました。人間にとってのエネルギー源となるものを指しているのですが、2015年より「エネルギー産生栄養素」と言い換えられるようになりました。
ここに「ビタミン」と「ミネラル」を入れて「五大栄養素」と言われ、必須栄養素として食品成分表にも食事摂取基準にも掲載され目標量に達成するよう数値を見て病院や施設では献立作成をします。
さらに食物繊維による効果が明らかになり、献立作成時に積極的に摂り入れるよう指標が改定のたびに見直されています。この食物繊維を入れて「六大栄養素」と言われています。
そして、ファイトケミカルを加えて「七大栄養素」としたり、水や酵素を加えて「八大栄養素」としている記事も見かけるようになりました。このようにまだ固定されていないようですが、ファイトケミカルも酵素もまだまだ研究途上であり、身体に良いとされているもののこれらの効果が特定の栄養素または植物化学物質によるものであるという証拠は限られているため必須栄養素とは定義されていません。勿論、指標もないため食事摂取基準には掲載がなく、献立作成時にも意識することはまずありません。
しかし私たちの身体に良い作用をもたらしてくれると期待されている成分としての意味合いで、推奨されているという訳です。
守るために作りだされた色素や香り、辛味、ネバネバなどの成分のことです。ファイトケミカルは必須栄養素ではないものの、体にとって良い作用をするため、健康を維持するためにはぜひ摂取したい重要な成分であることが明らかになってきています。
ファイトケミカルとは | 健康長寿ネット (tyojyu.or.jp)
ファイトケミカルの一部をご紹介|植物中の抗酸化物質
✓ポリフェノール類(水溶性)
✓フラボノイド系(色素)
アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)
カテキン(緑茶、果実類、カカオ)
テアフラビン(紅茶やウーロン茶などの発酵茶)
タンニン(カテキン、テアフラビンを総称して)
ルチン(蕎麦)
クエルチトリン(どくだみ茶)
イソフラボン(大豆)
ノビレチン(シークワーサー)
フラバノン(柑橘類の果皮)
フラボン(セロリ、パセリ、ピーマン)
フラボノール(ブロッコリー、タマネギ)
フラボノイド(タマネギ、レモン、バナナ)
✓その他
クロロゲン酸(コーヒー)
エラグ酸(イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブドウ)
リグナン(アカゴマ(亜麻仁)、ゴマ)
セサミン(ゴマ)
クルクミン(ウコン)
ヒドロキシチロソール(オリーブ)
オレオカンタール(オリーブオイル)
オレウロペイン(オリーブオイル)
レスベラトロール(赤ワイン)
アストラガリン(柿の葉)
✓カロテノイド類(脂溶性)
✓カロテン類(色素)
α-カロテン(ニンジン、カボチャ)
β-カロテン(ニンジン、カボチャ、トマト)
リコピン(トマト、スイカ)
✓キサントフィル類(色素)
ルテイン(ホウレンソウ、ブロッコリー、トウモロコシ)
ゼアキサンチン(カボチャ、トウモロコシ、モモ)
カンタキサンチン(キノコ)
フコキサンチン(ワカメやコンブ、ヒジキ、モズクなどの海藻類)
アスタキサンチン(鮭、エビ、カニ)
β-クリプトキサンチン(ミカン、ホウレンソウ)
ルビキサンチン(ローズヒップ)
✓モノテルペン(香気成分)
リモネン(レモン)
メントール(ハッカ)
✓含硫化合物
これらの化合物は硫黄を含んでおり、辛みと強い刺激臭が特徴です。これらのファイトケミカルは抗酸化作用も持っていますが、血行や血流の促進、強い抗菌作用、肝臓や消化管の解毒酵素の活性化などの効果があります。
イソチオシアネート系(ダイコン、ワサビ)すりおろすなどして細胞が壊れたときに生成される辛味成分
_スルフォラファン(ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ)
システインスルホキシド系(玉ねぎ、キャベツ)
アリシン(ニンニク、玉ねぎ、ねぎ、ニラ)
ショウガオール(生姜:加熱)
✓その他
細かくなりすぎてしまいますので今回は詳細を省いていますが、代表的なものをご紹介します。
✓多糖類
フコイダン(海藻類)
β-グルカン(キノコ)
イヌリン(キクイモ、ゴボウ、玉ねぎ)
サポニン(大豆)
✓辛味成分
カプサイシン(唐辛子)
ジンゲロール(生姜:生)
✓芳香物化合物
シンナムアルデヒド(シナモン)
コーヒー酸(コーヒー)
クマリン(桜の葉)
ファイトケミカル以外の抗酸化物質
これまで植物中の抗酸化物質をご紹介して参りましたが、それ以外にも抗酸化物質が存在します。代表的なものを記載しました。
✓体内酵素
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)
グルタチオンベルオキシターゼ
ベルオキシターゼ
カタラーゼ
✓生体由来の抗酸化物質
尿酸
グルタチオン(水溶性)
メラトニン
ビリルビン
ウロビリノーゲン
✓天然成分の抗酸化物質
ビタミンC
ビタミンE
ビタミンB2
抗酸化作用を助けるミネラル類(亜鉛、銅、マンガン、セレン)
アミノ酸の一種であるシステイン
脂肪酸の一種であるリポ酸
リノール酸
ビタミン様物質コエンザイムQ10
αーリポ酸(水溶性脂溶性両方の性質を持っている)
✓食品の反応に由来する抗酸化物質
メラノイジン(味噌の色素にも優れた抗酸化能力を持っていて、色が濃いほどその能力が高まっているとされています)
カラメル
おさらい|抗酸化物質はお互いに強力し合って活性酸素と戦っている
前回の記事でもお話しましたがビタミンCはビタミンEの能力を復活させる力も持っています。このようにお互いがお互いの能力を補い合っていて活性酸素に対抗していることが分かります。
そのため常に体内に十分量のビタミンCを供給し続けることが必要なのです。そしてこのビタミンCと同様にほかの抗酸化物質を摂取することで体内の酸化防止になっています。
そこからは再び還元型に戻ることはありませんので、ビタミンCの活性は失われます。
しかしこのビタミンCは酸化型に変わり活性は失われますが、上記でご紹介した他の抗酸化物質(グルタチオンやα-リポ酸)の働きにより還元型に戻ります。このように抗酸化物質はお互い協力し合って体内の活性酸素と戦っています。このことを「抗酸化ネットワーク」と呼んでいます。その中でもビタミンCは水溶性抗酸化物質の代表として体内の水溶性エリアを活性酸素の攻撃から守る働きをしています。
抗酸化物質の「プロオキシダント」って?
「プロオキシダント」とは抗酸化物質がラジカルとなり酸化作用を持つことで、物質を酸化させてしまう作用のことを指します。
ビタミンCを大量に摂取してしまうと鉄などの金属イオンが過剰に存在する場合、ビタミンCラジカルとなって酸化を進めてしまうという訳です。
しかし不安に感じていただく必要はありません。酸素を取り込むときに2%は酸化すると以前の記事でお伝えしたことと同じように、ビタミンCに限らず他の抗酸化物質にもプロオキシダント作用がある、ということです。そしてそれは必ずしもすべてが悪だということではありません。医療の発展によりその作用を利用してその結果生じた過酸化水素ががん細胞の成長を遅らせることにより、あるがん細胞の増殖を抑制する抗がん作用があることも研究結果で報告されています(高濃度ビタミンC療法)。
プロオキシダントになりにくい抗酸化物質としては鮭やエビなどの色素成分で知られる「アスタキサンチン」が知られています。以前テレビで北海道の鮭の加工場の様子を取材していた番組を偶然観ていたのですが、そこの女性の方のお肌がとても綺麗で、「鮭は毎日のように食べてます」と仰っていたのですがアスタキサンチン効果なのかな?ととても綺麗な肌だったことを今でも忘れられません。
まとめ
このように色素成分はたくさんあり、代表的なものを記載しましたが実際にはポリフェノール類だけでも何千種類もあると言われています。よく健康効果を謳いメディアで特定の食材を取り上げられることがよくありますが、このように様々な食材にそれぞれ個性あふれる栄養が詰まっているのです。理屈抜きに色んな食材を摂ると良いと思っていますので、昨日食べた食材と違う食材を手に取る、普段あまり食べない食材にチャレンジしてみる、と心がけて頂けたらと思います。毎日摂り続ける食材も必要と思いますが、そこに違う食材をプラスして毎日少しずつ変化をつけていけたら理想的だと思い、私もなるべく心がけて買い物するようにしています。
今回は抗酸化物質がメディアで耳にするよりももっとたくさんあるということも知って頂きたく、種類をご紹介させて頂きました。とはいえ私もまだまだ勉強中で抜けている部分などあると思いますが、これからも調べて更新していけたらと思います。いつも最後までお付き合い下さいまして、有難う御座いました。