ファイトケミカル|期待される効能別まとめを成分ごとに分類

ファイトケミカル|期待される効能別まとめを成分ごとに分類

皆さまこんにちは。前回、どのような成分が何の食材に含まれていて、どのような効果が期待されるのかを箇条書きにしてご紹介しました。
また食材を調理する時のポイントを併せてご紹介したのですが、その中で「食材の成分に合わせて調理法を選ぶ」とお伝えしたのですが、今回はその成分別に一覧にしてまとめ直しています。
自分で勉強したり効率よく摂取したいと思いサイトを探してみると一覧になっているサイトが意外と見つけられなかったため(私がただ検索が下手なだけかもしれませんが…)、とりあえず一覧で全体をぱっと見知りたい!という時に使えたらと思いざっくりと作成しました。一つの食材、一つの成分、一つの期待される効能について特化して詳しくご紹介して下さるサイトはたくさんあるのですが私の目的は全体像を眺めてみるような利用が出来たらと思っています。ただ、私もまだまだ勉強中の身で全てが網羅されているわけではありませんので随時更新や修正は必要ですが、ファイトケミカルを効率的に摂り入れるためのヒントになるよう活用して頂けると嬉しく思います。

ただし誤解して頂きたくないのはあくまでも「期待できる」にすぎませんので、これを食べていれば病気が治る、病気にかからない、といったことではありません。
最後のまとめでも話していますが、人間は身体と心が繋がっていて複雑に絡み合っていますので食事だけでなく生活習慣全体を意識することが健康不安を少しでも和らげることができるのではと思っています。

おさらい|食材を調理する時のポイント

Potatoes Cooking Pot Cute Kitchen  - Alexas_Fotos / Pixabay
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✓皮ごと食べましょう
外敵から身を守るため特に皮と実の間や種に多く含まれます。よく洗って皮ごと食べるのがお勧めです

✓傷あり野菜や無農薬野菜に成分が豊富
ファイトケミカルは外敵から身を守る成分のため、傷があったり紫外線や害虫などにさらされて生育している方が身を守るために増えます

✓食材の成分に合わせて調理法を選ぶ
水に溶ける、油に溶ける、熱に強い、弱いなど食材によって特徴があります。水溶性と脂溶性の食材を知り加熱するか生のままで食べるかを選んで調理すると効果的に栄養摂取できます

✓野菜の細胞壁を壊すイメージで加熱
ファイトケミカルは植物の細胞壁に保護された細胞膜や細胞内に含まれています。しかし細胞壁は包丁やミキサーで破砕する程度では壊れないため、サラダや生ジュースではファイトケミカルを効率的に摂取できません。熱を加えると細胞壁が壊れ、自然に細胞外に溶け出してきます。β-カロテンを含むニンジンの場合、そのまま搾った生ジュースよりもゆで汁の方が抗酸化力が100倍になるという実験データもあります

植物性抗酸化物質による期待される効能別一覧

ポイントはまず水溶性か脂溶性で分けています。スープにすると相性の良い食材「水溶性」や油を使用した調理法で相性が良い食材「脂溶性」が分かるように分けました。食材によっては当然例外も出てきますが、参考程度にして頂けたらと思います。

また水溶性、脂溶性以外では「その他」としています。例えば含硫化合物は生食または蒸すと効率が良い食材が多くありますが、その他として生食できない食材もありますので簡単に「水溶性と脂溶性以外の分類」と思って頂けたらと思います。※前回の記事一覧より一部加筆しています

注意点として、こちらの表はファイトケミカルだけをまとめているものであり、他の栄養成分が様々な機能に期待される食材もたくさんあります

期待される効能
※全てに当てはまるわけではありません
ポリフェノール類
(水溶性)
生食、スープにして汁ごとなど
カロテノイド類
(脂溶性)
炒める、揚げるなど
含硫化合物/その他
生食、蒸す、その他食材による
抗がん作用アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)
カテキン(緑茶、果実類、カカオ)
タンニン(お茶、レンコン)
ルチン(蕎麦)
ノビレチン(シークワーサー)
イソフラボン(大豆)
フラボン(セロリ、パセリ、ピーマン)
フラボノイド(タマネギ、レモン、バナナ)

クロロゲン酸(コーヒー)
エラグ酸(イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブドウ)
リグナン(アカゴマ(亜麻仁)、ゴマ)
セサミン(ゴマ)
クルクミン(ウコン・生姜)
ヒドロキシチロソール(オリーブ)
オレオカンタール(オリーブオイル)
オレウロペイン(オリーブオイル)
レスベラトロール(赤ワイン)
アストラガリン(柿の葉)
α-カロテン(ニンジン、カボチャ)
β-カロテン(ニンジン、カボチャ、トマト)
リコピン(トマト、スイカ)
カンタキサンチン(キノコ)
フコキサンチン(ワカメやコンブ、ヒジキ、モズクなどの海藻類)
アスタキサンチン(鮭、エビ、カニ)
ルビキサンチン(ローズヒップ)
リモネン(レモン)
イソチオシアネート系(ダイコン、ワサビ)
スルフォラファン(ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ)

アリシン(ニンニク、玉ねぎ、ねぎ、ニラ)
コーヒー酸(コーヒー)

ショウガオール(生姜:加熱)
ジンゲロール(生姜:生)
殺菌作用
抗菌作用
防臭作用
アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)
カテキン(緑茶、果実類、カカオ)

テアフラビン(紅茶やウーロン茶などの発酵茶)
タンニン(お茶、レンコン)
メントール(ハッカ)イソチオシアネート系(ダイコン、ワサビ)
スルフォラファン(ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ)

シンナムアルデヒド(シナモン)
抗炎症作用テアフラビン(紅茶やウーロン茶などの発酵茶)
タンニン(お茶、レンコン)
クエルチトリン(どくだみ茶)
エラグ酸(イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブドウ)
セサミン(ゴマ)
クルクミン(ウコン・生姜)
ルテオリン(ピーマン、大葉、春菊、パセリ、セロリ、エゴマ、ミント)
オレオカンタール(オリーブオイル)
リコピン(トマト、スイカ)ショウガオール(生姜:加熱)
フコイダン(海藻類)
ジンゲロール(生姜:生)
抗ウイルス作用
感染症予防
カテキン(緑茶、果実類、カカオ)
タンニン(お茶、レンコン)
フラバノン(柑橘類の果皮)

テアフラビン(紅茶やウーロン茶などの発酵茶)
ルチン(蕎麦)

クルクミン(ウコン・生姜)
シンナムアルデヒド(シナモン)
尿路感染症予防作用アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)
利尿作用クエルチトリン(どくだみ茶)ルビキサンチン(ローズヒップ)
眼疾患予防
白内障予防
眼精疲労軽減
アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)ルテイン(ホウレンソウ、ブロッコリー、トウモロコシ)
ゼアキサンチン(カボチャ、トウモロコシ、モモ)
アスタキサンチン(鮭、エビ、カニ)
黄斑変性症予防ゼアキサンチン(カボチャ、トウモロコシ、モモ)
メタボリックシンドローム発症予防アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)
ヒドロキシチロソール(オリーブ)
アスタキサンチン(鮭、エビ、カニ)
脂肪を分解してエネルギーに変える働き(肥満予防)
脂質代謝改善
テアフラビン(紅茶やウーロン茶などの発酵茶)
ノビレチン(シークワーサー)
フコキサンチン(ワカメやコンブ、ヒジキ、モズクなどの海藻類)サポニン(大豆)
コーヒー酸(コーヒー)
血糖値上昇抑制
糖尿病発症予防
テアフラビン(紅茶やウーロン茶などの発酵茶)
ノビレチン(シークワーサー)
クロロゲン酸(コーヒー)
エラグ酸(イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブドウ)
レスベラトロール(赤ワイン)
フコキサンチン(ワカメやコンブ、ヒジキ、モズクなどの海藻類)
β-クリプトキサンチン(ミカン、ホウレンソウ)

イヌリン(キクイモ、ゴボウ、玉ねぎ)
コーヒー酸(コーヒー)
血液サラサラ
高血圧予防
動脈硬化
脳血管障害)
心臓疾患)
(心筋梗塞
アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)
タンニン(お茶、レンコン)
ルチン(蕎麦)
クエルチトリン(どくだみ茶)
フラボノール_ケルセチン(ブロッコリー、タマネギ、エシャロット)
フラボノイド(タマネギ、レモン、バナナ)

クロロゲン酸(コーヒー)
リグナン(アカゴマ(亜麻仁)、ゴマ)
セサミン(ゴマ)
レスベラトロール(赤ワイン)
β-カロテン(ニンジン、カボチャ、トマト)
アスタキサンチン(鮭、エビ、カニ)
イソチオシアネート系(ダイコン、ワサビ)
アリシン(ニンニク、玉ねぎ、ねぎ、ニラ)
サポニン(大豆)

ショウガオール(生姜:加熱)
ジンゲロール(生姜:生)
カプサイシン(唐辛子)
コーヒー酸(コーヒー)
クマリン(桜の葉)
血中コレステロール値
低下
テアフラビン(紅茶やウーロン茶などの発酵茶)
タンニン(お茶、レンコン)
イソフラボン(大豆)
フラボノール_ケルセチン(ブロッコリー、タマネギ、エシャロット)
リグナン(アカゴマ(亜麻仁)、ゴマ)
セサミン(ゴマ)
システインスルホキシド系(玉ねぎ、キャベツ)
サポニン(大豆)

ショウガオール(生姜:加熱)
ジンゲロール(生姜:生)
肝機能の改善ノビレチン(シークワーサー)
リグナン(アカゴマ(亜麻仁)、ゴマ)
セサミン(ゴマ)
イソチオシアネート系(ダイコン、ワサビ)
サポニン(大豆)

ショウガオール(生姜:加熱)
ジンゲロール(生姜:生)
アルコール分解の促進リグナン(アカゴマ(亜麻仁)、ゴマ)
老化予防レスベラトロール(赤ワイン)
認知症リスクを低下させる効果アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)
ノビレチン(シークワーサー)
便秘改善クエルチトリン(どくだみ茶)
デトックス作用フラボノイド(タマネギ、レモン、バナナ)
ストレス緩和
免疫活性維持
フラボノイド(タマネギ、レモン、バナナ)
クルクミン(ウコン・生姜)
オレウロペイン(オリーブオイル)
α-カロテン(ニンジン、カボチャ)
β-カロテン(ニンジン、カボチャ、トマト)
β-クリプトキサンチン(ミカン、ホウレンソウ)
アリシン(ニンニク、玉ねぎ、ねぎ、ニラ)
フコイダン(海藻類)
β-グルカン(キノコ)
サポニン(大豆)
ムチン(サトイモ、ナガイモ、ヤマイモ、ナメコ、レンコン、オクラ)
レンチナン(しいたけ)
グリフォラン(まいたけ)
ジンゲロール(生姜:生)
オイゲノール(バナナ)
かゆみ
アレルギー発症予防
ルチン(蕎麦)
ノビレチン(シークワーサー)
フラバノン(柑橘類の果皮)
フラボン(セロリ、パセリ、ピーマン)
フラボノール_ケルセチン(ブロッコリー、タマネギ、エシャロット)
リグナン(アカゴマ(亜麻仁)、ゴマ)
クルクミン(ウコン・生姜)
ルテオリン(ピーマン、大葉、春菊、パセリ、セロリ、エゴマ、ミント)
ヘスペリチン(ゆず、すだち、温州ミカン、カボス)
アストラガリン(柿の葉)
スルフォラファン(ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ)
ショウガオール(生姜:加熱)

フコイダン(海藻類)
ジンゲロール(生姜:生)
花粉症の改善効果アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)
冷え性改善アントシアニン(ナス、ブルーベリー、ブドウ、赤しそ)ショウガオール(生姜:加熱)
カプサイシン(唐辛子)
肌の老化予防
メラニン合成阻害(美白)
アンチエイジング
ルチン(蕎麦)
ノビレチン(シークワーサー)
フラボノイド(タマネギ、レモン、バナナ)
クロロゲン酸(コーヒー)
エラグ酸(イチゴ、ラズベリー、クランベリー、ブドウ)
ヒドロキシチロソール(オリーブ)
オレウロペイン(オリーブオイル)
ルテイン(ホウレンソウ、ブロッコリー、トウモロコシ)
アスタキサンチン(鮭、エビ、カニ)
β-クリプトキサンチン(ミカン、ホウレンソウ)
肌の引き締め効果
収れん作用
メントール(ハッカ)
ルビキサンチン(ローズヒップ)
ダイエット効果クロロゲン酸(コーヒー)リモネン(レモン)
毛細血管を強化ルチン(蕎麦)
フラバノン(柑橘類の果皮)
フラボノール_ケルセチン(ブロッコリー、タマネギ、エシャロット)
シンナムアルデヒド(シナモン)
骨粗しょう症予防イソフラボン(大豆)β-クリプトキサンチン(ミカン、ホウレンソウ)
関節痛の炎症を緩和フラボノール_ケルセチン(ブロッコリー、タマネギ、エシャロット)
筋肉疲労軽減アスタキサンチン(鮭、エビ、カニ)
疲労回復カプサイシン(唐辛子)
新陳代謝活発カプサイシン(唐辛子)
脳の活性化コーヒー酸(コーヒー)
日光感受性から保護カンタキサンチン(キノコ)
アポトーシス作用フコキサンチン(ワカメやコンブ、ヒジキ、モズクなどの海藻類)イソチオシアネート系(ダイコン、ワサビ)
緩下作用ルビキサンチン(ローズヒップ)
鎮静作用ルビキサンチン(ローズヒップ)
メントール(ハッカ)
ショウガオール(生姜:加熱)
ジンゲロール(生姜:生)
リラックス効果リモネン(レモン)コーヒー酸(コーヒー)
覚醒効果リモネン(レモン)
育毛・抜け毛予防リモネン(レモン)
メントール(ハッカ)
食欲増進リモネン(レモン)カプサイシン(唐辛子)
唾液や胃液の分泌を活発カプサイシン(唐辛子)
消化促進効果シンナムアルデヒド(シナモン)
咳や痰抑制サポニン(大豆)

健康不安の解消には食事以外のことも同じくらい大切

Winter Trip Mountain Trekking  - monicore / Pixabay
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このように期待される効能別に見てみると健康不安を少しでも解消できそうな気がしてきます。そのために偏った食事ではなく色々なものを色々な調理法に変えて作って食べてみたいと思います。
以前酵素について記事を書いたことがありましたが酵素を意識して摂取するには生食に限ります。しかし加熱した方が良い成分や効能もありますので、こだわらずにその時その時で楽しみたいと思いました。
しかし忙しくて思うような食事が摂れない時もあると思います。それでも食材の種類を0よりは1、1よりは2と一つ加えるだけでも違ってくると思いますのでさっと使える食材を常備しておくことも良いかもしれません。例えばラーメンに海苔をのせるとか、お味噌汁にきのこを加えるとか、この効能別一覧を見ているとついつい忘れがちな海藻類やキノコ類も摂れる時は摂ろうという気持ちにさせてくれます。

ファイトケミカルの話を何回かに分けてお話しましたが、これらの食材を効率よく摂取すれば病気にならない、病気が治るということではありません。個人差や体質、遺伝的なものをはじめ、人間の身体はとても複雑にできていますのでホルモンやストレスの影響などの心的要因、また外部環境によっても影響を受けます。”健康の三原則”として「栄養」「睡眠」「運動」というキーワードで掲げているように食事面だけでは健康維持は難しい場合があります。
また”健康な生活を支える三原則”として「快便」「快食」「快眠」とも謳われています。日常生活の中で自分が満足いく理想的な一日を送れるよう心がける、その中に食事選びのヒントも一つとしてご活用頂けると嬉しく思います。
本日も最後までお付き合いくださいまして、有難うございました。