皆さまこんにちは。手洗い、アルコール消毒に引き続き、最終回となる今回はその他私が普段心がけていることをご紹介していきたいと思います。先にざっとお伝えするとこのような内容です。
✓マスクにも予防効果はある
✓キッチンブリーチはウイルスを不活化してくれる
✓除菌力99.9%と同じようにワクチン接種も過信しない
✓無症状なだけでウイルスを持っていると考えて行動する
✓立場の一方側だけが感染対策を努力するのではない
✓ストレスは万病のもと
細かいいきさつなどは後日別の記事でもお話したいと思いますので、前編、中編に引き続き残りの6項目を簡単にご紹介いたします。
目次
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素材別によるマスクの効果
マスクは煩わしく感じる時もありますよね。息苦しい、夏は暑くて蒸れる、メガネが曇る、メイクが崩れる、肌が荒れる、耳が痛くなるなど、あまり良いことはありません。
(実際に私の父が昨年、メガネが曇り足元の段差に気づけず、足首を捻挫してしまったことがありました…)
パンデミック宣言以前では、WHO(世界保健機関)でのマスクの定義は「感染させないもの」であり、「感染しない」とは定めていませんでした(現在は説明が細かく記載されるようになりました)。
欧米ではもともとマスクをする習慣がなく、マスクをして街中を歩いていたらよっぽどの病気か変わり者あるいは不審者かと思われるそうです。
ですが私はマスクには予防効果はあると思っています。
そう実感したいきさつは後日お話したいと思いますので、今回はろ過性についてのみ簡単にご説明します。
ウレタン製は話題にも上がる通り私もあまりお勧めできません。人は無意識に顔を触るため手指への付着防止の意味では良いかなと思う程度です(あくまでもろ過性の視点です)。
一般用不織布マスク(非医療用)は網目がランダムに編まれているので、風邪・花粉・ほこりを防いでくれると期待できます。
病院で使用されているサージカルマスク(医療用)は簡単に言うと不織布の3重または4重構造になっているため、ウイルスの予防効果も高いとされています。”FE”と記載があるものは過効率(ろ過)と通気性の係数で、値が高ければ全体的な効率が良いことを示しています。
ガーゼや布は網目が縦横きれいに編まれていますので、ウレタン製と不織布の中間の通気性といったイメージですね。
いずれにしても鼻までしっかりと覆いましょう。鼻が出ている方をよく見かけますがせっかくの効果が弱くなってしまいます。
(引用元:厚生労働省 ) 新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
家庭用キッチンブリーチの取り扱い
”次亜塩素酸ナトリウム”という消毒液を聞いたことがあるでしょうか。いわゆる塩素系のキッチンブリーチです。
食品添加物殺菌料として布巾や茶渋などの漂白の他、生食する野菜や果物の消毒にも効果があります。
腸管出血性大腸菌O-157による食中毒の事例にはかいわれ大根、白菜漬け、きゅうりなど野菜が原因で食中毒が発生し残念ながら亡くなられた方もいらっしゃいます。このように野菜には食中毒の原因菌が付着している場合があるのですが、次亜塩素酸ナトリウムにより死滅させることが出来ます。
そして何よりもノロウイルスに効果があるのがこの次亜塩素酸ナトリウムなのです。
哺乳瓶の消毒で知られる商品も、同じ成分です。
商品によって原液濃度が異なり、業務用では主に6%濃度(一部12%濃度のものもあります)、
家庭用はだいたい5%前後濃度です。家庭用は成分が少し不安定という理由からラベルに原液濃度の記載はありません。昔、お客様相談室フリーダイヤルに直接問い合わせたところ約5%前後です、という回答を頂き、記載の無い理由もそれで知りました(コロナ禍の現在ではどうか分かりませんが)。
哺乳瓶の消毒用のとある商品は約1%濃度です。
何を消毒したいかによって希釈する割合が異なるため、下記に示しました。
✓ノロウイルス対策:0.1%濃度
✓新型コロナウイルス対策:0.05%濃度
✓一般的な食中毒菌の対策:0.02%濃度
このように”原液濃度”に対して”何を消毒したいか”により希釈率が異なります。
次亜塩素酸ナトリウムは濃度が強ければ強いほど良いということではありません。
注釈でも示したように家庭用キッチンブリーチでもメーカーの商品ごとに原液濃度が異なるため、厚生労働省などのホームページに記載されている希釈例をもとに使用すると良いでしょう。
(引用元:厚生労働省) 0327_poster.pdf (meti.go.jp)
使用の注意点として、原液濃度は強アルカリ性(ph12以上)のためほんの少しでも指に触れるとすぐ手が荒れてしまいます。仕事中、毎日希釈して消毒に使用していましたが、大丈夫と思っても必ず失敗して液だれが指に触れてしまいます。もともと手荒れが酷かったのに次亜塩素酸ナトリウムに触れるとさらに手荒れが悪化してしまいました。必ず手袋をして使用しましょう。
清拭した10分後に水拭きします。消毒放置中の10分間は他の方にも触れないようにとお伝えすると良いです。金属製のものは腐食するので特によく水拭きしてください。
殺菌やウイルスを不活化させるためには盤石です。特に冬季のノロウイルス対策でのトイレ消毒でも試してみてください。
また保管方法も注意が必要です。不安定で分解されやすい性質のため常温でも徐々に自然分解していきます。強アルカリ性では比較的安定しているため原液濃度が濃く製造されていて、薄めて使用するようになっているわけなのです。
消毒効果を弱めないよう、以下のポイントが大切です。
✓日光(特に紫外線)に当てない
✓高温下では保管しない(冷所15℃以下が望ましい)
✓早めに使用する
一方、補足になりますが”次亜塩素酸水”というものも存在します。
こちらは酸性で、次亜塩素酸ナトリウム(アルカリ性)とは全くの別物です。
簡単に説明すると食塩を利用して水を電気分解したものになります。
酸性とアルカリ性では用途も目的も全く異なりますので混同しないよう充分にご注意ください。
やるべき対策は打った人も打ってない人も同じ
前回の記事で「99.9%除菌」に過信しない、とお話しましたがワクチンも同じように考えています。
ノロウイルスの場合、ウイルスが体内に入ってしまったら排出されるまでに数日間~長くて1か月程度残存すると言われています。
症状が出るか出ないかはその時の個人の抵抗力の差によります。
また症状が出たからといって、ウイルスを排出しきったということではありません。
食中毒菌である微生物菌も同じです。例えばサルモネラ菌も、排出までに日数がかかります。
無症状の場合は自分が感染していることに気が付かないまま過ごしているため、知らず知らずのうちに周囲に付着させてしまっていることになるのです。
打っていない人だけでなく、ワクチンを打った人も手洗いとマスクを心がけた生活をして、はじめてワクチンとの相乗効果により全体の感染が減っていくと私は思っています。
「自分は無症状なだけでウイルスを持っている」と常に考える
食事に関わる仕事をしている時はこれが大前提でした。
どれだけ食中毒防止対策を実施しても自分が知らないうちに菌やウイルスを持っているかもしれない。
”うつらない”ではなく”うつさない”方を強く意識しその心づもりで業務に当たっていました。
食中毒防止対策は大きく2段階になっています。
まずは持ち込まない。体調不良時は当然ながら、同居者に体調不良者がいたら自分は元気でも出勤停止です。それでも無症状で菌やウイルスを厨房に持ち込んでしまっていると想定して、消毒と加熱殺菌をするのです。そうすることで食中毒事故を出さずに無事、食事提供が出来るのです。
意識が違う?立場が違う?
今年の6月末に事情があり両親と3人で車で北海道へ行きました。
帰りは三陸海岸沿いを走り岩手県内の旅館にも泊まらせていただいたのですが、この時、良い意味で違いを感じました。
行先ではどこへ行っても感染症対策を充分に講じていました。必ず「スタッフは感染症対策を徹底しています」と説明があります。また客にも「検温やマスク着用、消毒の実施のご協力をお願いします」とどこでも案内がありました。今や当然のことで何の疑問もありません。
しかし岩手県内の宿泊先では、施設側の感染症対策は当然ながら、客側にも感染症対策の徹底をより具体的により強調していたように感じたのです。
下記にホームページより抜粋させていただきました。
(大船渡温泉ホームページ 2020 年10月3日) 新型コロナウィルス感染症対策取り組み宣言 | 三陸岩手県大船渡市の温泉ホテル・旅館|大船渡温泉|公式サイト (oofunato-onsen.com)
新型コロナウィルス感染症対策取り組み宣言
大船渡温泉では、新型コロナウィルス感染防止と安全・安心なご旅行をお楽しみ頂くために、Go Toトラベル事業の参加条件を遵守することを宣言し、次のような対応を行ないます。
万が一、ご同意いただけない場合、またはご協力いただけない場合には、一部のサービスのご提供ができない場合や、ご利用をお断りする場合もございますので、予めご了承ください。
1.
従業員は、体調管理を徹底しております。お客様についても、ご旅行出発時に検温を行い、発熱や風邪の症状がある場合には、ご旅行の予定をご変更いただきますようお願いいたします。また、当館入口においてもお客様の検温を行い37.5℃以上の発熱が確認された場合には、保健所の指示に従い対応いたします。
2.
チェックイン時には、ご利用になるお客様皆様の身分証明証を確認いたしますので、忘れずにご持参ください。
3.
館内では、「新しい旅のエチケット」を実施してください。当館内のみならず、旅先のあらゆる場面で3密が発生する場や施設等は回避し、大声を出すような行為もご遠慮ください。
4.
館内の衛生維持に努め、従業員もまめに手洗いや手指消毒を行います。また、館内各所には、手指消毒液を配備しますので、滞在中のお客様も同様に、手洗い・手指消毒を行なってください。
5.
当館の従業員は、全員マスクを着用して、接客致します。同様にお客様も、お食事中およびご入浴中以外館内では、マスクを着用してください。
6.
当館のご夕食は、これまで同様に開業以来の三陸の海の幸懐石をご提供します。 ただし、ご朝食は、当面ビュッフェではなく、和定食にてお一人ずつご提供いたします。 また、お食事会場では、お席の間を推奨される最低限の間隔(1m以上)を維持し、さらに、お食事時間を分けてご案内することで、混雑を回避いたします。
7.
大人数でのご利用は、事前のご相談をお願いいたします。
全てのお客様が安心してご滞在いただけるよう、ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。
結局は同じことを言っているのですが、やんわりとした協力依頼ではない表現が私には印象に残りました。飲食店でもどこでも、お店側だけが頑張るのではなく、客側も頑張らなくてはいけないと思うのです。
6月は第5波になる以前の蔓延防止等重点措置の期間でしたが、第5波以前というのは提供側だけのイメージが強く、そうじゃないと思うんだけど…と思っていたところでしたので、とてもうれしく思いました。岩手県が最後まで感染者がなかなか出ないと報道されていましたが、一方の立場の人だけが努力するのではなく、このようにどの立場でも一人ひとりが心がけていたのではないかなと勝手に想像しています。
ここでは詳細を省きますがとても素敵な旅館でした。いつか堂々と旅行ができるようになったら、今回行けなかった姉と妹も一緒に是非また訪れたいです。
ノロウイルス二次汚染による食中毒は時に1000人を超える大規模な食中毒事故に繋がります。
食事を扱う関連事業者は衛生管理は当然の責務でありますが、食べる側もそれなりに必要と思っています。
学校では給食前に手洗いの時間を設けているのでしょうか。ここ近年の1000人規模の食中毒はどちらも学校給食でしたので、当時はどうだったのか気になります。辛い思いをされた学生さんたちが大勢いたことに胸を痛めました。食べる側も気を付ける環境づくりが整うといいなと思います。
世界的な感染拡大は歴史的にもとても悲しい出来事ですが、一方で、コロナ終息後も感染症対策を一人ひとりが心がけてくれる世の中になるといいです。
でもやっぱり…ストレスを溜めないこと
色々と書きましたが、最後は結局これに尽きます。万全の対策を取っても、抵抗力が低下していたらどんな病にもかかってしまうのです。
日頃からストレス発散できる、よく笑う、好きなことに熱中するなど、とても大切なことだと思います。
やりたいことが出来ない時点でストレスですが、こういう時こそ何が出来るかを考えながら、いつか思いっきり騒げる日が来たらその時は全力で楽しみたいと思います。
今は静かに過ごしてこれから冬に向けて第6波を引き起こさない心づもりで冬を迎えたいと思います。
まとめると9項目
3回に分けてご紹介して参りましたが箇条書きにすると全部で9項目になりました。
どれか一つでも印象に残ったものはありましたでしょうか。自分に合いそう、簡単そう、と共感して頂けたものだけでも一緒に取り組んで頂けると嬉しく思います。
1.日頃から整理整頓をし、きれいな状態を保つ
2.手洗いのポイント
3.消毒用アルコールの正しい使い方
4.マスクは予防効果ある
5.キッチンブリーチでウイルスを不活化
6.除菌力99.9%やワクチン接種を過信しない
7.無症状なだけでウイルスを持っていると考えて行動する
8.立場の一方側だけが感染対策を努力するのではない
9.ストレスは万病のもと
感染症防止対策は様々なものの組み合わせの相乗効果により全体の感染者が減ると私は思っています。
それぞれの消毒剤や対策グッズはどれも素晴らしい機能を発揮してくれます。ただ、何かをしたからもう安心、ということではなく、排出し続けているかもしれないウイルスと長期的に向き合うには”正しい情報を得る”ことが大切と思っており、記事にしました。
情報はたくさん溢れていてありすぎて何を信じたらいいか分からなくなる時もあります。その中でも明らかなものは分かりやすく伝え、根拠が無いものは自分で試して自分なりに答えを求めていきたいと思います。
最後まで読んでいただきまして、有難うございました。