皆さまこんにちは。これまでノロウイルスを相手に食中毒予防対策をしてきたと話をしてきました。
新型コロナウイルスについてはまだまだ未知の世界ですが、目に見えない相手への対策としては応用できるのではないかと思っており、前編では基本となる手洗いのことを中心にお話しました。
今回は消毒用アルコールについてまとめましたので、何か一つでも日々の暮らしに取り入れられるものが見つかると嬉しいです。

目次
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アルコール使用時の3つのポイント
現在、お店の入口に必ずと言っていいほど手指消毒用アルコールの設置を見かけるようになりました。
給食会社退職後の一般企業の職場にて、到着しても手を洗わずにすぐ自席に向かう方を度々見かけたとお話しましたが、手を洗う環境が整っているならまず手を洗うことが最も望ましいです。
しかし出先で必ず手が洗えるとは限りません。そのような時はアルコール噴霧や除菌シートの活用を代替えとして活用できると安心です。
一時期はアルコールも品薄状態で「1プッシュでお願いします」と貼り紙があったお店もありました。
でも実際に効果はどうなんだろう?と思ったことはないでしょうか。思わず何度も押したくなりますよね。
答えは、基本的には1プッシュで充分です。メーカーにもよりますが1プッシュで3ml(小さじ3分の2程度)で、効果のある分量が出るようになっています。ポンプを一番下まで押し切って1プッシュです。
ただし私が関わっていたのは病院内や給食などの場面での使用でしたので、ご家庭用など常用になっている現在とは比較できない面も多分にあります。「元々はそういうものなんだ~」くらいの参考程度に思って頂けると嬉しいです。
現在は持ち歩きできるタイプだけでも様々なものが出ていますよね。より身近なものになりましたが、こちらは容器を押した分だけ出ます。ジェル状や泡状、液体と様々な形状のものがありますので、目安を知っていると少しは安心かなと思います。
ちなみにジェル状のものも1プッシュの規定があるのをご存知ですか?約1.2mlです。アメリカではジェル状の商品が6割以上を占めていて、スプレータイプはあまりありません。スプレータイプと異なり自分でまんべんなく手指にのばさないといけませんが付近や床、小さなお子さんに誤ってかかってしまう心配はありません。
そのアルコールも正しく活用することで消毒効果がより発揮されます。ポイントは以下の3点です。
✓渇いた手にまんべんなく噴霧する
✓爪の中~指先を最初に刷り込ませる
✓アルコールが完全に乾いて無くなるまで全体に刷り込む(目安15秒)
手指消毒用アルコールって、種類がたくさんあってよく分からない…
アルコールには濃度がありCMでも”高濃度”を謳っている商品もありますが、高濃度じゃないとほかのアルコールは効き目が弱いのかな…と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも何%が良いのでしょう。高濃度になればなるほど良いのでしょうか。
日本薬局方ではエタノール(アルコール)の殺菌効果の至適濃度範囲(有効範囲)を76.9~81.4 v/v%とし、
WHO(世界保健機関)のガイドラインでは60~80 v/v% としています。
そして厚生労働省では以下のように発表しています。
2.アルコール(濃度70%以上95%以下のエタノール)
(引用元:厚生労働省)新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
手洗いがすぐにできない状況では、アルコール消毒液も有効です。
アルコールは、ウイルスの「膜」を壊すことで無毒化するものです。
また、手指など人体に用いる場合は、品質・有効性・人体への安全性が確認された
「医薬品・医薬部外品」(「医薬品」「医薬部外品」との表示のあるもの)を使用してください。
<使用方法>濃度70%以上95%以下(※)のエタノールを用いて、よくすりこみます。
濃度が高すぎるとエタノール分子の構造上において逆に効かなくなると言われていますので、より高濃度を求めるよりも”至適濃度”を知ることが大切になります。濃度が高くなるほど手荒れも心配になります。
そして、サイトを直接見て頂くとわかるのですがこの一文には注意書き(※)がありまして、このように補足しています。
(※) 60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると考えられる報告があり、70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用した消毒も差し支えありません。
特に入手困難でなくても、私は60%台で充分かなと思っています。
正しく使えればしっかりと消毒効果を発揮してくれますので、高濃度にこだわらなくても問題ありません。
この”正しく”というのは先ほど挙げた3つのポイントですね。
ここで一つ気になるのが”品質・有効性・人体への安全性が確認された「医薬品・医薬部外品を使用してください」という点です。現在は類似品も多く出回っているため、この 医薬品や医薬部外品以外の商品も実際にあるのです。この記載がない商品は”消毒”として認められず”雑品”扱いになりますのでご注意ください。
購入時は 「医薬品」「医薬部外品」「消毒」とラベルに記載があるかどうかを最初に確認すると良いでしょう。
厨房で使用するアルコールは「医薬品」ではない

手指消毒用アルコールについて触れてきましたが、厨房で使用するのは医薬品でも医薬部外品でもありません。厨房では”食品添加物アルコール製剤”と言って、口に入っても問題の無い成分を使用しています。
そして食品添加物アルコール製剤についても下記のように特例で通知を出しています。
1.食品等に関連する施設、店舗等において、やむを得ない場合に限り、令和
(引用元:厚生労働省)000789597.pdf (mhlw.go.jp)
2年4月 22 日事務連絡中記2における(ア)及び(イ)の要件を満たす食品
添加物エタノール製品を、食品等事業者の責任において手指消毒用エタノー
ルの代替品として用いることは差し支えないこと。
厨房作業においてもアルコール消毒は必須です。手洗いはアルコールを刷り込んで完了させ、同様に調理器具や設備にも洗浄や清掃後に噴霧して消毒作業を行っていました。
アルコールは消防法により60% (←重量%、w/w%) 濃度以上のものは危険物扱いとなります。
(容量で考えた時の濃度(v/v%)換算でおよそ 67%相当以上)
80ℓ以上保管する時は手続きが必要になります。そのため厨房内では50%台後半のものをよく使用していました。業務用5ℓ入り3本で段ボール1ケースとなりますので5ケースまでなら保管可能と、というイメージですね。
50%台でもアルコールと添加物の相乗効果によって従来最も効果が高いとされてきた70~80%のアルコールと同等の効果が得られることが認められています。
調理器具や調理台などを洗浄・清掃後に仕上げに消毒する時も、水気の無い完全に乾いたところにスプレータイプでまんべんなく噴霧し、乾いて消毒完了という流れでした。
余談ですがアメリカには食品添加物アルコール製剤は存在しないそうです。例えば包丁やまな板などの調理器具に使用し、その後食材に触れても、間接的に触れる分には人体に影響はないとの見解を示しています。
今回この記事を書くに当たりアルコールについて改めてよく調べ直してみたのですが、未知な部分がたくさんありかなりの時間を費やしてしまいました。
感染症対策などに関連する展示会に先日お邪魔してきました。何件か企業の方とお話させて頂いたのですが、「正直みんな迷走してますね…」なんてお話されていたくらいですのでそれが現実なのかなと思います。世界中が振り回されて大変な状況にあるので、そりゃ迷走もしますよね。。
ネットで正しい情報を拾いたいと思ってもたくさんありどれを信じたら良いかわからなくなる時もありますし、また難しくて理解出来ないこともあります。知識を正しく習得しないと正しい使い方も出来ず、せっかくの効果も弱まってしまっては勿体ないですね。
効果がきちんと出るようこれからも勉強を重ねて自分自身で実践し、正しく情報発信していきたいと思いました。
実践してきたことが間違いではなかった
私はノロウイルスを相手に食中毒予防対策を行ってきたと何度か話してきました。
それはノロウイルスが食品を介して他の人に感染させてしまうからです。
ウイルスの性質が異なるものを比較してはいけませんが、応用のつもりで対策してきたことは少なからず間違いではないと日々感じています。
問8 食品を介して新型コロナウイルス感染症に感染することはありますか。
(引用元:厚生労働省)新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
コロナウイルスは熱(70度以上で一定時間)及びアルコール(60%以上(※)、市販の手指消毒用アルコールはこれにあたります)に弱いことがわかっています。製造、流通、調理、販売、配膳等の各段階で、食品取扱者の体調管理やこまめな手洗い、手指消毒用アルコール等による手指の消毒、咳エチケットなど、通常の食中毒予防のために行っている一般的な衛生管理が実施されていれば心配する必要はありません。
ノロウイルスの場合は熱85~90℃、90秒以上の加熱により不活化します。
またアルコールは効きません(ノロウイルスやロタウイルスなど膜のない”ノンエンベロープウイルス”はアルコールは効かないのです)
そのため手指消毒は石鹸での丁寧な手洗いが大前提で、ノロウイルス対策に限って言えばアルコールに頼ることはありませんでした。
器具や設備の消毒は次亜塩素酸ナトリウムでの消毒(または煮沸消毒)を基本としていましたので、上記にある通り「通常の食中毒予防のために行っている一般的な衛生管理が実施されていれば心配する必要はありません。」とあることからあながち間違いではなかったと、再確認できて改めて安心しました。
手洗いのあとのアルコール消毒は必要?
結論からお伝えしますと、手洗いが出来ていればアルコール消毒する必要はありません。
何度かお話している通りノロウイルスはアルコールによる効果は無く、あくまでも基本は手洗いなのです。
アルコールが手放せない世の中になりましたが個人的にはアルコールに頼ることの無い、本来の手洗いが習慣化されることを願っています。
ただ、今はいつまでこの状況が続くか分かりませんのでお店に設置されているとホッとします。
アルコールについてのまとめ
✓高濃度と謳っている製品もあるが高濃度であればあるほど良いということではない
✓新型コロナウイルスが不活化されると言われている至適濃度は60%以上で差し支えない
✓”医薬品””医薬部外品””消毒”と記載のある商品を選ぶ
✓スプレータイプやジェル状など形状が異なる商品があるが、いずれも1プッシュの規定量がある
✓台所での使用や、小さなお子さんがいて口に入れるのが心配なら”食品添加物アルコール製剤”を選ぶと安心
✓ノロウイルスにアルコールは効かない
✓手洗いが出来ればさらにアルコール消毒をする必要はない
最後に|有効だけど”除菌力99.9%”に過信しない
除菌シートや空間除菌の機器、その他さまざまな商品ででこのようなセリフを聞いたことがあるかもしれませんが、こちらにも少し触れてみたいと思います。
先に誤解のないようにお伝えしますが、商品を否定するということではありません。あくまでも過信しないように、という意味で読んでいただけたらと思います。
言い換えると残りの0.1%は菌やウイルスが残存していることになります。
なぜ0.1%の残存が怖いのかと言いますと、またノロウイルスのお話になりますがノロウイルスは1gの糞便に1億個、嘔吐物1gに100万個のウイルスが含まれています。
人がノロウイルスに感染する時は10~100個の少量の感染で発症してしまうと言われています。
1億個×0.1%=10万個、100万個×0.1%=1000個となりますので、たった10~100個で発症してしまうということは0.1%残存していたら結局感染してしまってもおかしくありません。
この10~100個の感染でも発症する人と発症しない人(不顕性感染者)がいるのは、最終的には免疫力やストレスの度合い、基礎疾患を持っているなどリスクの差になります。
そのため99.9%除菌出来たから安心、と思っては欲しくないということなのです。
意味が無いということではありませんので誤解しないでください。私も除菌できる商品をよく利用しています。
過信せずに、あくまでも基本は手洗いで、状況や場面に応じて消毒や除菌できる商品をうまく活用したいと思うのです。
感染症防止対策は、様々なものの組み合わせの相乗効果により全体の感染者が減ると私は思っています。
それぞれの消毒剤や対策グッズはどれも素晴らしい機能を発揮してくれますので、基本の手洗いを忘れずにご自分に合う商品を掛け合わせて活用していけると良いですね。
次回は手洗いやアルコール以外のことについてご紹介したいと思います。
最後まで読んでくださいまして有難うございました。