皆さまこんにちは。佐々木漬物の御主人が青年の頃に発表した資料から、御主人の原点を知ることができました。
農業と経営に真剣に向き合った時に気が付いた、「なんで米ぬかに埋まっている畑の野菜はいつまで経っても元気なんだろう?」という疑問からぬか漬けが人間の身体にも良いということを経験から知り、こだわりの発酵ぬか漬けを作るために独学で知識と技術を身に付けていきました。
現代では「健康的な生活を支える三原則は、快食、快眠、快便」と言われています。
本日も佐々木漬物のこだわりの一つ、「酪酸菌」にまつわるお話をしたいと思います。
目次
目次
おさらい|酪酸菌とは
酪酸菌は「酪酸」を作り出す菌の総称を指します。
具体的に言うと、腸に届いた食物繊維を発酵・分解して「酪酸」を作ります。
動物の腸内のほか、土壌などにも棲みついています。
胃酸に強く、生きて腸まで届くと言われています。
酪酸菌が含まれる食材
現在わかっている身近な食材の中では、ぬか漬けくらいしか見当たりません。
日本人が古来から食べてきたもの
昔の日本人は玄米を常食として食べてきました。お米を精米し白米として食べるようになったのは江戸時代頃から。
海の幸や山の幸として海藻や山菜、根菜類などをよく食べていたと考えられます。
食の歴史としてもっとさかのぼると、日本人は古来から縄文時代の頃から木の実やきのこなどを食べてきました。
このように日本人は食物繊維をよく摂取していた人種と言えます。
以前の記事にも少し記載しましたが、「生海苔」は日本人しか消化できません。外国の方には生海苔を消化する酵素を持っていないのです。
逆に日本人は牛乳を飲むとお腹を壊す人もいます。「乳糖不耐症」と言って、牛乳を充分に消化できない人もいるのです。
このように人間は太古の昔から遺伝として消化酵素を受け継がれているのです。
「身土不二」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
仏教用語で「身」(今までの行為の結果=正報)と、「土」(身がよりどころにしている環境=依報)は切り離せない、という意味です。
また日本では食養運動のスローガンとして人間の身体と土地は切り離せない関係にあるということ、その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良いという考え方で、明治時代に石塚左玄らが唱えました。
食物繊維とは
食物繊維とは「人の消化酵素で分解することのできない食物中の総体」と定義されています。消化されないためエネルギー源にはなりません。そのため一昔前までは「栄養にならない不要なもの」とされてきました。しかし腸内環境を整えるなどの働きが見直され、近年では第6の栄養素とも注目されています。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、目標量として男性18~64歳は一日に21g以上、女性18~64歳は一日に18g以上と設定されています。
生活習慣病の発症予防の観点から一日24g以上が理想とされていますが、令和元年国民健康・栄養調査では現状の摂取量が18.4gであったため目標量を少し落として理想に近づけさせることとしたようです。
現在の日本人成人(18 歳以上)における食物繊維摂取量の中央値(13.7 g/日)と、24 g/日と
02_各論_1-4_炭水化物_cs6_0116.indd (mhlw.go.jp)
の中間値(18.9 g/日)をもって目標量を算出するための参照値とした。次に、成人(18 歳以上)
における参照体重の平均値(58.3 kg)と性別及び年齢区分ごとの参照体重を用い、その体重比の
0.75 乗を用いて体表面積を推定する方法により外挿し、性別及び年齢区分ごとの目標量を算出し
た。ただし、参照体重の平均値には、性及び年齢区分(全 10 階級)における値の単純平均を用い
た。
不溶性と水溶性があり、一つの食材に両方含まれることが多いですが、その割合がそれぞれの食材で異なります。
例えば大麦には水溶性食物繊維が100g中に6g含まれています。不溶性食物繊維は3.6g含まれています。
またきのこ類全般は、両方含まれていますが割合的には不溶性食物繊維の方が多く含まれています。
食事として摂取するには不溶性2:水溶性1が理想とされています。
食物中に含まれている、人の消化酵素で消化することのできない物質のことです。
食物繊維 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
多くの種類がありますが、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維に大別できます。不溶性食物繊維はセルロース・ヘミセルロース・キチン・キトサンなど、水溶性食物繊維にはペクチン・グルコマンナン・アルギン酸・アガロース・アガロペクチン・カラギーナン・ポリデキストロースなどがあります。
酪酸菌を増やすには”水溶性”食物繊維を一緒に摂取する
世界的に見ても日本人が長寿というのは、この食物繊維をよく摂取してきたために酪酸菌が多い腸内環境だからではないかと最近の研究で分かりつつあるのです。
しかし酪酸菌そのものを食事からとるにはぬか漬けを毎日大量に摂取することくらいしか方法はありません。現実的ではありませんので、別の方法として、腸内で酪酸菌を増やすことが必要です。
酪酸菌のエサとなるのは”水溶性”食物繊維と言われています。現代では特に不足しがちと言われている水溶性食物繊維を摂取することで腸内で酪酸菌を増やすことができます。
水溶性食物繊維が多く含まれる食材まとめ
一例ですが食品群別にまとめています。
<海藻類> ひじき あおのり わかめ 昆布
<豆類> 納豆 インゲン豆 大豆
<穀類> 大麦 ライ麦 玄米 とうもろこし そば粉
<芋類> さつまいも 里芋 やまいも
<野菜類> らっきょう にんにく ごぼう オクラ カボチャ
<果物類> アボカド パパイヤ いちじく キウイフルーツ りんご ドライフルーツ
(水溶性食物繊維の種類別でもご紹介)
<ペクチン> 柑橘類 りんご バナナ
<β-グルカン> 大麦 酵母
<グルコマンナン> こんにゃく芋・粉 山芋
<イヌリン> ごぼう 玉ねぎ キクイモ
<フラクタン> らっきょう
<アルギン酸> わかめ 昆布 ひじき もずくなどの褐藻類(かっそうるい)
<アガロース/アガロペクチン> 寒天
<カラギーナン >イバラノリなどの紅藻類(こうそうるい)
さいごに|おなかに共生している生き物たちにも大好物の食事を
戦後、日本人は和食から欧米的な食生活へと変化し、食物繊維の摂取量も約半分に減りました。
腸内には私達と共生している別の生き物がいるなんて不思議な気持ちにもなりますが、自分の好きなものばかりではなく、その生き物たちの大好物を食べさせてあげられるように、と最近意識するようになりました。
私の場合ですが、目標量を達成するように食事を心がけても続かないと思い、まずは「わかめを毎日」「白米に大麦を混ぜて炊く」にしました。
この方が私には合っているのではないかと思い、意識付けのために実践中です。
善と悪が拮抗しながら互いにバランスを取っている…
アンパンマンの作者であるやなせたかしさんがばいきんまんを作り出した時に「最高傑作だ」と仰っていたように、ライバルがいて戦う相手がいるからお互いにより強くなっていくのですね。
その拮抗作用が長寿のカギとなっている。経済もスポーツも文化やどんなことも、あらゆる世界でそのように切磋琢磨して成長してきましたが、人間の長寿の秘訣もこの「拮抗」だったのです。
私のお腹の中でも菌がお互いに拮抗して成長してくれるようにと想像して菌を育みたいと思います。