皆さまこんにちは。佐々木漬物の御主人が青年の頃に発表した資料から、御主人の原点を知ることができました。
農業と経営に真剣に向き合った時に気が付いた、「なんで米ぬかに埋まっている畑の野菜はいつまで経っても元気なんだろう?」という疑問からぬか漬けが人間の身体にも良いということを経験から知り、こだわりの発酵ぬか漬けを作るために独学で知識と技術を身に付けていきました。
現代では「健康的な生活を支える三原則は、快食、快眠、快便」と言われています。
本日は佐々木漬物のこだわりの一つ、「塩」のお話をしたいと思います。
目次
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子供の頃に中耳炎にかかった
御主人は、子供の頃に中耳炎にかかったそうです。ただ、何が原因で中耳炎になったかは分かりませんでした。
中耳炎は、鼓膜のある「中耳」という部分が炎症を起こす病気です。
子供の中耳炎に多くみられるのは「急性中耳炎」で、原因は細菌やウイルスに感染して発症します。
例えばインフルエンザ菌や肺炎球菌などで、鼻に感染した細菌やウイルスが鼻の奥でつながっている耳管(じかん)を通じて、中耳にも及ぶのが原因です。
自覚症状としては、以下のような症状が挙げられます。
・耳が痛い、発熱がある
・耳が詰まったような感覚があり耳を触ってしまう
・聞こえが悪い
・耳だれ(耳漏)がある
予防法は何と言っても風邪をひかないようにすること。手洗いを普段から習慣づけることが大切です。
「湯治」と「潮湯治」|日本の文化
「潮湯治(しおとうじ)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「湯治」は聞いたことがあっても「潮湯治」はあまり聞き馴染みがないかもしれませんね。
四方を海に囲まれた日本では古くから病気を治す目的で温泉や海に浸かっていたと言われています。
まず「湯治」ですが、医療的ケアが普及していなかった時代に、温泉成分の効能を期待して、温泉地に長く滞在して疾病を治したり体調を整えたりする行動様式のことを言います。
昔から行われてきた湯治は数週間から1ヶ月程度その温泉地で過ごし、自然治癒力を高め心身の治療を目的とするものです。
温泉成分やその疾病にもよりますが、一部では浸かるだけでなく温泉水の成分を吸ったり飲んだりすることでも効果があるとされています。
湯治は平安時代には存在したと言われていて、武士や僧侶らが身体を癒していた記録もあり、徳川将軍が熱海の湯をたいそう気に入って江戸城まで温泉を運ばせたお話は有名ですね。
農民や町民などの一般庶民にも湯治の文化が広まったのは江戸時代に入ってからと言われています。
それと同じように「潮湯治」というものがありました。
現代の「海水浴」の原点とも言われていて、病気治療のため、海水につかることを言います。
古くから「潮浴(しおあみ)」「潮湯治(しおとうじ)」などの名で医療的ケアのための海水浴が行われていました。
その後、現代では行楽娯楽として各地の海浜で盛んになりました。
源実朝も鎌倉で医療のために海水浴をしたと言われる詩を詠んでいます。
私の個人的な話になってしまいますが、私も千葉県勝浦市の海水浴場に一時期毎年通って海水浴を楽しんでいました。
その頃は業務が多忙で心身ともに辛かった時期でしたが、貴重な休みの日に日帰りで海に入っては癒されていました。
蒸し暑いうだるような夏に押し寄せる波の揺らぎを感じながら、パチパチと海藻が呼吸しているような音を聴きながら、日頃の疲れやストレスを忘れてリフレッシュできたことは今でも思い出されます。
漬物の発酵過程
お話を漬物に戻し、あらためて、野菜の発酵する過程を振り返りましょう。
空気中には様々な菌が浮遊しています。
それは人間の目線で勝手に善玉菌、悪玉菌(腐敗菌、病原菌、食中毒菌など言い方は様々…)などと区別をしているだけで、地球上には数百万とも言われる数えきれないほどの菌が存在しているのです。
O-157で知られる腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌などの食中毒菌も、乳酸菌と同じ微生物です。
空気中に菌が浮遊しているわけですから野菜にも様々な菌が付着しています。それは人間に害のある菌も、有益な効果をくれる菌も、両方です。
ではなぜ漬物は乳酸菌が増えて腐敗菌や食中毒菌は増えずに安全に食べられるのでしょうか。
漬物になるための一番の大きな特徴は「塩」です。
簡単に説明すると、乳酸菌は”好塩菌”と言って塩が大好きです。
さらに塩によって雑菌や腐敗菌が繁殖しにくい状態になります。
そして発酵です。乳酸菌によって乳酸や酢酸がつくられると腐敗菌や悪玉菌の嫌いな”酸性環境”になります。
乳酸菌自体は酸に強いので、腐敗菌や悪玉菌を寄せ付けない環境を作れるというわけです。この入れ替わり現象は時間をかけて少しずつ変化していくそうです。
塩にこだわる
御主人は子供の頃、中耳炎にかかりました。
その際、地元の長崎の海に入ったら治ったという記憶があるそうです。
湯治、海水浴、これらは昔の人の療養の知恵です。
この時は理由など分かりません。しかし子供なりに「海水浴で中耳炎が治った」という記憶が今でもあるそうです。
この時の記憶から、漬物作りに大切な塩には特にこだわって選びました。
塩には「ミネラルが含まれた塩」と「精製塩」がある
ご存知の方も多いかと思いますが、塩にはこのようにミネラルが含まれたものもあれば、精製された塩もあります。
精製塩は海水に含まれる塩化ナトリウム以外のミネラル成分を排除して製造されます。
(食塩類)は、成分表2015年版(七訂)で収載していた市場流通量の多い「食塩」、「並塩」及
文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂) (mext.go.jp)
び「精製塩」に加え、減塩タイプ食塩を収載した。
「食塩」は塩化ナトリウム含有量が99 %以上のもの、「並塩」は95 %以上のものと、塩事業センター及び日本塩工業会等の品質規格で定められている。市販品の純度の低いいわゆる粗塩は、「並塩」に相当する。新たに収載した「減塩タイプ食塩」は、減塩のために開発された食塩で、塩化ナトリウムが50%以上カットされている。食用塩公正取引協議会において、塩化ナトリウム以外の塩類が50%以上含まれている場合に限り、「減塩」の表示ができることとなっている。塩化ナトリウムの代替として、塩化カリウム、炭酸マグネシウムの他、グルコン酸ナトリウム等の調味料(無機塩等)を添加して使用しているが、調味料を含むものと含まないものの2つに区分して収載した。「食塩」及び「並塩」の成分値は、四訂成分表収載値及び関係資料10) に基づき決定した。「減塩タイプ食塩」の成分値は、関係資料10) に基づき決定した。「精製塩」は塩事業センターの品質規格で塩化ナトリウム含有量が99.5 %以上と定められており、固結防止用に炭酸マグネシウムを添加した「家庭用」と、無添加の「業務用」がある。「精製塩」の成分値は、関係資料10)に基づき決定した。
精製塩は言い換えるとミネラル成分を含んだものよりも塩分濃度が高いということが言えます。
ところで、塩は悪なのでしょうか?
もちろん摂り過ぎは良くないですが、塩は身体にとってとても大切なものです。
夏場は汗をかいて塩分不足にならないよう、「熱中症予防に塩分チャージ」といった飴などが近年では販売されています。
佐々木漬物の御主人は毎日ぬか漬けを食べ続けていますが、85歳でも血圧は正常値です。
コレステロール値も血糖値も安定しているといいます。
塩にこだわっているから、人間の身体に大切なミネラル成分が含まれていること、また野菜を摂取することでカリウムを補い、それが結果的に余分なナトリウムの排除に繋がっているのだと思います。
また減塩だけを意識するのではなく、米ぬかを摂取することで血管が柔軟になると言われるビタミンEが摂れていること、発酵食品を摂取することで血行が良くなり基礎体温も高めに維持できていること、これらの複合的な要素により高血圧症や動脈硬化症を予防できているのかと思われます。
高血圧症も動脈硬化症も、どちらにも「症」が付く通り、病気ではなく「症状」です。症状が悪化することにより様々な疾病の引き金になるのです。
血圧が上がる要因
血圧上昇の原因は塩分だけではありませんが、初めに塩分の摂り過ぎによる血圧上昇を簡単にご説明いたします。
塩分を摂り過ぎると水分の過剰摂取を招き、血管や心臓などに負担がかかります。
喉が渇き水をたくさん飲むと結果的に血液の量が増えるため血圧が上がります。
水と塩分を尿として体外に排出することで体内の調整ができていますが、腎臓での処理が追い付かないほどになると血液の量が増えたままになり、血圧の高い状態が続きます。
そして、血圧上昇の原因は他にもあります。
まず加齢です。加齢により柔軟な血管から固くもろい血管へと老化してしまいます。そのため血液の流れが悪くなり心臓から血液を出す力と心臓へ血液を戻す力がより必要になってきます。これが血圧上昇の一つの要因です。
また自律神経やホルモンが血圧上昇に関与していて、ストレスにより血管が収縮して血圧が上がります。
加齢やストレスの他に、喫煙、飲みすぎ、運動不足、肥満などの要因、また遺伝もあります。
塩分が血圧上昇の悪の根源と思われがちですが、要因はこのように様々です。
健康漬物「乳酸発酵白菜ぬか漬け」を食べて生き生きと過ごそう
塩分の排出を促す効果のあるカリウムをはじめ、カルシウム、マグネシウム、食物繊維などを摂取することで血圧が下がる効果があります。
「漬物は塩分が高い」と思われて敬遠されがちですが、ミネラル成分を含んだ塩+米ぬか+野菜+発酵食品の相乗効果により血管が柔軟に、血流が良くその状態が維持されることにより血圧も正常値でいられることが期待されます。
御主人はこのぬか漬けを食べているだけではなく、運動も継続していることが健康の秘訣かと思われます。
しかし何と言っても「漬物は塩分が高い=身体に悪い」という単純なことではない、ということはご理解頂けたらと思っております。
本日はその健康漬物のゆえんであるこだわりの塩のお話をしましたが、そのきっかけは子供の頃にかかった中耳炎がヒントになっていました。
経験から「なぜ?」を追求し、そして健康漬物が完成しました。
米ぬか、野菜、発酵、そして塩。
それぞれが持つ栄養素や成分により、複合的に身体に良い効果をもたらしてくれています。
たくさんの種類の塩を味見しながら、白菜ぬか漬けと相性の良いキリっとした味わいのミネラル塩を選んで今のぬか漬けが完成いたしました。あっさりと、でも旨味が凝縮されて味わい深いこだわりのぬか漬けはご飯のおかずにもお酒のおつまみにもピッタリ。
購入の際には店頭で御主人にお会いしてお話をして、元気を頂けることも私の楽しみの一つになっています。