皆さまこんにちは。佐々木漬物の御主人が青年の頃に発表した資料から、御主人の原点を知ることができました。
農業と経営に真剣に向き合った時に気が付いた、「なんで米ぬかに埋まっている畑の野菜はいつまで経っても元気なんだろう?」という疑問からぬか漬けが人間の身体にも良いということを経験から知り、こだわりの発酵ぬか漬けを作るために独学で知識と技術を身に付けていきました。
現代では「健康的な生活を支える三原則は、快食、快眠、快便」と言われています。
本日は佐々木漬物のこだわりの一つ、「酪酸菌」のお話をしたいと思います。
目次
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酪酸菌とは
酪酸菌は「酪酸」を作り出す菌の総称を指します。
具体的に言うと、腸に届いた食物繊維を発酵・分解して「酪酸」を作ります。
動物の腸内のほか、土壌などにも棲みついています。
胃酸に強く、生きて腸まで届くと言われています。
「酪酸」は短鎖脂肪酸から出来ている
酪酸は、短鎖脂肪酸(脂質を構成する脂肪酸の一部)の一種で、短鎖脂肪酸の代表的なものに酪酸のほか、酢酸やプロピオン酸があります。
この短鎖脂肪酸については、次回ご説明したいと思います。
酪酸菌が含まれる食材
現在わかっている身近な食材の中では、ぬか漬けくらいしか見当たりません。古くから日本人の腸内環境を整える働きをする腸内細菌のひとつです。
ジャラハニーや臭豆腐にも含まれると聞きますが、日本では身近に手に入る食材となると…ということですね。

酪酸菌の働き
大腸のエネルギー源
酪酸菌は大腸に届いた食物繊維を発酵・分解し、酪酸をつくります。
酪酸は大腸のエネルギー源となり、大腸が正常に働くよう、腸のぜん動運動を促す作用があります。また腸管粘膜の傷の修復もサポートしてくれます。
免疫バランスの調整役
酪酸菌優位の腸内環境では、調節性T細胞(英語でreguratory T cell、略してTreg(Tレグ細胞)と言う)の分化を促進し、全身の免疫バランスを調節します。
本来、免疫細胞とは病原菌やウイルスを見つけると攻撃してくれるのですが、暴走して体の正常な細胞まで攻撃することでアレルギーや自己免疫疾患を引き起こすとされています。
この暴走を抑えてくれるのがTレグ細胞です。
健康長寿の秘訣!?
酪酸は免疫系や神経系だけでなく、内分泌系などの全身の健康にも影響を与えることが報告されています。
私たちの腸内には1000種類以上の腸内細菌が棲みついていると言われますが、これらの腸内細菌同士は共生または拮抗しながら暮らしています。
酪酸は、腸内を弱酸性にし有害物質を作り出す悪玉菌の発育を抑制する働きがあり、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が棲みやすい腸内環境に整えてくれます。
風邪やウイルスなどの感染にかかりにくく、また大腸がんの抑制や過敏性腸症候群の改善などにも期待され、また、血糖値の上昇を抑制する効果が期待されるなど嬉しい作用がわかりつつあります。
健康長寿の高齢者は酪酸菌が優位という調査報告があるそうで、このことから最近は酪酸菌を「長寿菌」と呼ぶ方もいるそうです。
酪酸菌は…〇〇のニオイ!?
ご家庭でぬか床作りをした際に、失敗したというご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ぬか床から蒸れた靴下や雑巾のような嫌な臭いがする…なんてことがある時は、酪酸菌が増えすぎてしまった証拠なのです。
酪酸菌は不快な特有な臭いが特徴です。酸素の少ない環境で増えるため、ぬか床を毎日かき混ぜるというのは、底のぬかを空気に触れさせて酪酸菌を増やし過ぎないように整えるためなんですね。
酪酸菌を増やすには、水溶性食物繊維と一緒に摂ること
酪酸菌そのものを食事からとるにはぬか漬けを毎日コツコツと食べることになります。しかしぬか漬けを一度に大量に摂取することは現実的ではありませんので、さらに腸内で酪酸菌を増やすことが必要です。
食物繊維には”水溶性”と”不溶性”があるのですが、酪酸菌のエサとなるのは水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維を多く含む食べ物といえば、果物、野菜、海藻類、キノコ類、豆類などが挙げられます。
まごはやさしい
この合言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ま…まめ
ご…ごま
は…わかめ(海藻類)
や…やさい
さ…さかな
し…しいたけ(きのこ類)
い…いも

頭ではわかっているつもりでもついつい好きなものを食べてしまいます。好き嫌いやよく食べるもの、摂り入れやすい食材などは人それぞれです。そんな時にこの合言葉を思い出すだけでも酪酸菌を腸内で増やすきっかけになりますね。
私が「ちゃんと海藻やきのこ、豆類も忘れずにシッカリと食べなきゃ」と思い直したのは、あるニュースを観た時でした。
京丹後市では元気なお年寄りがとても多いことで知られています。
京丹後市は京都府の北の丹後地域に位置する市で、海と山に囲まれた自然豊かな地域です。また丹波黒豆がとても有名ですね。
2017年より、京丹後市の高齢者を対象とした「京丹後長寿コホート研究」という疫学研究を続けているそうです。丹後地域に暮らす高齢者の生活習慣や食生活などを調べ、健康長寿の秘訣を探っていくというもの。
中でもこのニュースで取り上げられていたのは、この地域に住む方々は豆や海藻をはじめとする水溶性植物繊維を習慣的に食べているからではないかというお話でした。
実際に、腸内細菌の中で酪酸菌は乳酸菌とともに長寿との相関関係にあると考えられていて、腸内細菌を解析したところ酪酸菌が多く検出されることがわかったそうです。
酪酸菌の維持のためには…運動も必要

食べ物による腸内環境の改善だけではなく、適度な運動習慣は腸の活動を活発にし、酪酸菌の過ごしやすい環境づくりに効果的です。
また有酸素運動も有効であると言われています。運動を続けることで酪酸菌が増えることが報告されていますが、運動習慣が途絶えてしまうと酪酸菌が減ってしまうことも報告されています。
腸内環境を整えるために必要な善玉菌の一つ。乳酸菌が育ちやすい環境を整えてあげるには酪酸菌の存在が必要です。
しかしその酪酸菌は身近な食材ではぬか漬けにしか存在しません。
ぬか漬けと食物繊維を一緒にコツコツと摂り、適度に運動も継続しながら腸内環境を整えていきましょう。