佐々木漬物の「こだわり」|酪酸菌が現代病と言える免疫疾患の克服のカギに!?

佐々木漬物の「こだわり」|酪酸菌が現代病と言える免疫疾患の克服のカギに!?

皆さまこんにちは。佐々木漬物の御主人が青年の頃に発表した資料から、御主人の原点を知ることができました。

農業と経営に真剣に向き合った時に気が付いた、「なんで米ぬかに埋まっている畑の野菜はいつまで経っても元気なんだろう?」という疑問からぬか漬けが人間の身体にも良いということを経験から知り、こだわりの発酵ぬか漬けを作るために独学で知識と技術を身に付けていきました。

現代では「健康的な生活を支える三原則は、快食、快眠、快便」と言われています。

本日も佐々木漬物のこだわりの一つ、「酪酸菌」のお話をしたいと思います。

目次

酪酸菌は善玉菌の仲間

酪酸を産生する細菌のことを酪酸菌と言います。

代表的なものが”クロストリジウム・ブチリカム”といい、クロストリジウム属のタイプ種です。

(他にも酪酸を産生する細菌としてユーバクテリウム、フソバクテリウムなどがあります)

酪酸菌はいわゆる”善玉菌”のひとつです。

クロストリジウム菌は100種以上ある|一部には病原菌も

代表的なものが”クロストリジウム・ブチリカム”とご紹介しましたが、クロストリジウム菌は100種類以上もあり、多くが酪酸を産生する善玉菌なのですが、ごく一部には病原菌ともなる菌もいるのです。

ボツリヌス菌やウェルシュ菌といった、いわゆる下痢や嘔吐などの症状を発症する食中毒菌です。

また、破傷風もクロストリジウム菌の仲間です。

ウェルシュ菌はいわゆる「給食病」とも言われ、大量にカレーや煮込み料理などをしたあと、温かいままで常温放置していると繁殖しやすくなります。

ボツリヌス菌は飯寿司や辛子蓮根などによる食中毒の事例が過去にあります。

クロストリジウム菌は日和見菌としても存在

腸内環境は善玉菌2:日和見菌7:悪玉菌1のバランスが理想的と言われていますが、この「日和見菌」がクロストリジウム、ユーバクテリウム、バクテロイデスなどの種類なのです。

善でも悪でもどちらでもない菌を悪玉菌化させないように食事から善玉菌を補充して維持することが大切になります。

また「乳児ボツリヌス症」をご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、1歳未満の赤ちゃんにハチミツを与えてしまうと悪玉菌として腸内で増殖し様々な症状が発症してしまいます。

通常、1歳以上であればハチミツを摂取しても他の腸内細菌の方がボツリヌス菌よりも打ち勝つため害はありません。

しかし1歳未満の赤ちゃんの場合、まだ腸内環境が整っていないためにボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出してしまうことがあるのです。

現代に増えているアレルギーや自己免疫疾患

免疫反応は細菌やウィルスなどの異物から私たちの身体を守るための重要な防御機能ですが、免疫反応が過剰に働くと正常なものまで敵と勘違いして攻撃してしまう場合があります。

花粉症やアトピー、食物アレルギーなどは、異物ではないのに異物と誤解し過剰に反応してしまいます。それを排除しようと”アレルギー反応”として様々な症状を引き起こします。

また関節リウマチや多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患などは、過剰な免疫反応が原因で発症する病気です。

「自己免疫疾患」と呼び、昔に比べてこれらのアレルギー症状や疾患が増えています。

調べるとこの患者さんの中に、およそ100種類いると言われるクロストリジウム菌の中の、ある種類が少なくなっていることがわかってきているらしいのです。

最近分かってきた、免疫細胞の違う顔

最近の研究で分かってきたことがあります。

発見したのは日本の大学教授。ノーベル賞ものだと称されるこの大発見。

これまで免疫細胞というのは異物を攻撃するものだと考えられてきました。

もちろん間違いではありません。しかし驚くことに、「攻撃する」以外の役割を持つ免疫細胞も発見されたというのです。

それが「制御性T細胞」です。

制御性T細胞は英語で「reguratory T cell」といいます。そのため略語である”Tレグ”と通称されています。

このTレグ細胞の働きで、全身のどこかで暴走している免疫細胞を落ち着かせ、アレルギー症状や自己免疫疾患を抑えることがわかってきたのです。

クロストリジウム菌の役割|酪酸が免疫細胞へ指令を出す

なんとそんな世界的発見である重要なTレグ細胞は、クロストリジウム菌(酪酸菌)の働きによって腸内で産生されていることが研究で明らかになってきたというのです。

どこかで免疫が暴走していると、酪酸菌から”ある物質”が放出され、免疫細胞がTレグ細胞へと変身します。そのTレグ細胞が暴走している免疫細胞を落ち着かせ、アレルギー症状や自己免疫疾患を抑えてくれるのです。

このTレグ細胞を必要な時に増産させるためにはどうしたら良いのでしょうか。

酪酸を腸内で産生させるためには食物繊維やオリゴ糖が必要

そこで酪酸の登場です。”ある物質”、つまり”酪酸”がTレグ細胞を増やすためのメッセージを伝える役割を担っているのです。

そのためクロストリジウム菌(酪酸菌)を常に腸内に住まわせておくことが必要です。

ではそのクロストリジウム菌(酪酸菌)を腸内で増やすためにはどうしたら良いのでしょうか。

クロストリジウム菌(酪酸菌)は、私たちの腸内で「食物繊維」をエサとして食べ、そして酪酸を盛んに放出するのです。

この酪酸が少ないとTレグ細胞も産生されません。

つまり、アレルギーや自己免疫疾患が増えているのは、酪酸不足、すなわち、食物繊維やオリゴ糖の摂取量が不足しているからと言い換えることができます。

さいごに|酪酸不足を解消させればアレルギーや自己免疫疾患を改善することができる!?

酪酸を食事で増やすことはできません。

しかし酪酸菌や食物繊維、オリゴ糖を積極的に摂取すれば腸内で酪酸が産生されます。

昔に比べて現代は食物繊維不足と言われています。

難病と言われる現代病。ここ近年で増加傾向にある理由が、食物繊維不足、酪酸不足の減少ということが納得できる気がします。

ぬか漬けを食べることで酪酸菌と食物繊維を同時に摂取できるため、改善には一番の近道ではないでしょうか。

実際に私に佐々木漬物を紹介してくれた知り合いの方は、中学生の頃から悩まされてきた花粉症が急に楽になったと話していました。

次回は具体的に様々な食材の食物繊維をご紹介したいと思います。