皆さまこんにちは。本日は、何度かご紹介している佐々木漬物の乳酸発酵白菜ぬか漬けの誕生秘話をご紹介したいと思います。
一昨年の秋に知り合いの方から漬物屋さんを紹介され、食べてみたら旨味があってスッキリとした味わい。飽きずにいくらでも食べられる美味しさで、それまでぬか漬けが苦手だった私が毎日冷蔵庫に常備しないと不安になるほどになりました。
何よりも無添加で安心して食べられるという点が魅力です。
なぜ無添加なのかというと、米ぬかによる乳酸発酵のパワーが発揮されているからということですね。
健康維持のためにもはや”貴重品”とも言えるこのぬか漬け。御年85歳の御主人の健康体そのものが答えを導いてくれているようです。
本日はそのぬか漬けを作ることになったきっかけについて御主人から色々と聞かせて頂いたことをまとめたいと思い、この場をお借りしてご紹介したいと思います。
ーーーーー
1951年、長崎県世知原町(せちばるちょう)(現:佐世保市)という山村で「青年活動」の中の「4Hクラブ」という青少年の研究グループが有り、農業改革・生活改善の中から日本の伝統食のぬか漬けに興味を持ち、現在に至る。
科学と研究が進みぬか漬けには発酵微生物が活発に活動している事が判明され、成人病予防に効果がある事が明らかに成ったので、食物繊維を多含している白菜に注目し、私の経験を活かし三年間かかりましたが乳酸発酵白菜を誕生させることに成功しました。
歴史ある製法、経験、技術を生かして開発しました。これを食する事により乳酸菌は腸に到達し、そこで活発に増殖し、そのため腐敗菌や異常発酵菌を抑える事が出来、また、食物繊維が多く含まれているため宿便・便秘を改善し、整腸作用と体温を上げる事で昔から健康維持食品として利用されて来ました。
今一度日本古来の漬物「おふくろの味」を思い出して見ましょう。肌のきれいな健康人は発酵漬物を毎日食べている事を証明されています(「食と日本人の知恵(岩波現代文庫 社会 52)著:小泉武夫」より引用)。
自己の健康管理に今一度食卓に。
佐々木漬物 店主 佐々木勝彦
ーーーーー
御主人の生まれ育った地域では、当時石炭産業が発展し、昭和22年に炭坑用開発事業が起工され全耕地の3分の1を買収されたそうです。零細農に陥っている中で農家経済は極めて苦しいのが実態でありました。そこで経営改善に取り組むべく「水田裏作利用に依る経営改善」を20歳の時に発表したのが始まりでした。
昭和29年から32年までの4年間、収入と支出を記録し、「水耕」「裏作物」「畜産」「普通畑」に分けて農業所得の推移を検証したという発表内容です。換金作物が少なく現金収入の少ない経営であったことから「水田地力の増進」と「換金作物の導入」がまず大切と思い「水田裏作利用蔬菜栽培」を4年間計画実施しました。
この発表の中には「合理化」「生産性」「労働力」という言葉が度々出てきます。経営する人々にとって「収益化」のために追求していくことは現代も昔も変わりません。農業経営を合理化し明るい農家生活を気づくことが大切だと当時20歳の青年はまとめとして締めくくっております。
農業は体力仕事であります。その中で御主人は「健康でいること」がとても大切だと当時から思っていたとお話して下さいました。
そして1962年(昭和37年)、「第11回記念_全国4Hクラブ実績発表大会」に出場しおよそ3000人の前で発表したとのことでした。
この時の発表内容は「養鶏を主体とした私の経営改善」です。この時に支出改善の一環で肥料の見直しなども行っており米ぬかも使用していました。
その日々の改善の中である時ふと「何で米ぬかに埋まっている野菜はいつまで経っても腐らないんだろう?」と気づいたことがきっかけだったと言います。
そこからぬか漬けに興味を持ち始め、農業から転業を決め、ぬか漬け作りを始めたということでした。
御主人の口癖はいつも「なぜ、なぜ、なぜと調べたくなるんだ」と言います。その探究心が米ぬかに埋まった畑の野菜を見て米ぬかの自然の持つ力を調べるようになり、「ぬか漬け」は野菜を元気にするだけでなく人間も健康にするのではないかと思い、勉強するようになったと言います。
しかし当時は知りたくても調べる手段がなく、農業について指導して下さる方から教えて頂ける程度だったと言います。その後、「全国4Hクラブ実績発表大会」に出場した際に、将来性のある青年がいると目を付けて頂き、農家から漬物屋に転業するきっかけになったとのことでした。
農林水産省_4Hクラブについて
4Hクラブ(農業青年クラブ)について:農林水産省 (maff.go.jp)
全国農業青年クラブ連絡協議会
4Hについて | 全国農業青年クラブ連絡協議会 (zenkyo4h.com)
そうして独学で学びながら試行錯誤の上、乳酸発酵のぬか漬けが出来上がり、今日までそのぬかを40年間継ぎ足し継ぎ足しで作り続けているということです。
佐々木漬物
佐々木漬物 HOME (sakura.ne.jp)
当時の発表資料を見せて下さいながらお話を聞かせて頂きました。
次回は御主人からお借りした貴重な当時の資料もご紹介したいと思います。