皆さまこんにちは。佐々木漬物の御主人が青年の頃に発表した資料から、御主人の原点を知ることができました。
そしてその後、漬物屋に転業されます。
そのきっかけとなったのが農業と経営に真剣に向き合った時に気が付いた、「なんで米ぬかに埋まっている畑の野菜はいつまで経っても元気なんだろう?」でした。
本日は佐々木漬物の原点である、こだわりの「米ぬか」についてお話したいと思います。
目次
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きっかけ|「発酵」を知る
農業経営は兼業でやらなくては生計が成り立たず、あの手この手で4年間計画を実施し、そこで見えてきた成果と反省を見つめ、より豊かな明るい農業生活を送ることを当時の青年は目指してきました。
そのためには「健康」でいることがとても大事だと実感していました。農業は体力勝負であること、また農繁期の労働力が厳しかったこと、そういったことから健康への意識もとても強かったようです。
畑にまいた米ぬかに埋もれている野菜は、なぜいつまで経っても腐らないのか。
「なぜ?」を追求し続けた結果、理由は「発酵」にあると知りました。
農業から漬物製造業へ転業した御主人。そこで独学でぬか漬け作りを学び、継ぎ足し継ぎ足しのこだわりのぬかで作り続けて、今や40年になります。
米ぬかの発酵の力を経験から知り、周囲の諸先輩方に教えて頂きながら発酵の力を引き出す技術を身に付け、美味しいぬか漬け作りに没頭していくことになります。
そうして本物の「発酵食品」の製法に辿り着き、そのため保存料を添加する必要のない、いわゆる「無添加の乳酸発酵ぬか漬け」が完成したのです。
完成した看板商品|無添加の「乳酸発酵白菜ぬか漬け」
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1951年、長崎県世知原町(せちばるちょう)(現:佐世保市)という山村で「青年活動」の中の「4Hクラブ」という青少年の研究グループが有り、農業改革・生活改善の中から日本の伝統食のぬか漬けに興味を持ち、現在に至る。
科学と研究が進みぬか漬けには発酵微生物が活発に活動している事が判明され、成人病予防に効果がある事が明らかに成ったので、食物繊維を多含している白菜に注目し、私の経験を活かし三年間かかりましたが乳酸発酵白菜を誕生させることに成功しました。
歴史ある製法、経験、技術を生かして開発しました。これを食する事により乳酸菌は腸に到達し、そこで活発に増殖し、そのため腐敗菌や異常発酵菌を抑える事が出来、また、食物繊維が多く含まれているため宿便・便秘を改善し、整腸作用と体温を上げる事で昔から健康維持食品として利用されて来ました。
今一度日本古来の漬物「おふくろの味」を思い出して見ましょう。肌のきれいな健康人は発酵漬物を毎日食べている事を証明されています(「食と日本人の知恵(岩波現代文庫 社会 52)著:小泉武夫」より引用)。
自己の健康管理に今一度食卓に。
佐々木漬物 店主 佐々木勝彦
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ご存知でしたか?漬物は「発酵食品」
漬物は発酵食品で身体に良いとされています。ご存知でしたでしょうか?
発酵食品が身体にどのような作用が働くのか見て行きましょう。
✓整腸作用
発酵食品を摂取することにより、乳酸菌や酪酸菌、その他さまざまな有益菌のお陰で腸内環境を整えることができます。
乳酸菌は食物繊維やオリゴ糖を餌として腸内で増えていきます。特に白菜漬けのような、食物繊維が豊富な野菜と乳酸菌を一緒に摂取することは整腸作用の相乗効果が期待されます。
それだけでなく乳酸菌などの善玉菌は腸内でビタミン(B1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸)を産生しますので、発酵食品を食べて善玉菌を増やせばビタミンB群もさらに増えるという訳です。
✓野菜そのものの栄養価がアップ
さらに野菜の発酵過程においても、ビタミンB群など野菜の栄養価が増えると言われています。漬物を摂取することにより栄養価が高まった野菜を摂取することになり、さらに腸内で善玉菌がビタミン類を産生するなんて、驚きしかありません。
✓酵素を摂り入れることができる
また酵素は加熱に弱いのですが漬物は非加熱のため、酵素がたっぷりです。微生物の力で人間は健康を維持することができるのです。
「酵素」ってなに?
簡単に言うと、”生体触媒”。英語では”enzyme(エンザイム)”
”in yeast”つまり”酵母の中”という意味、ギリシア語の “εν ζυμη”(en zymi)に由来、酵母の素。「これは酵母をすりつぶしてもなお発酵は続き、その発酵は酵母の中にある物質(酵素)により行われていることが1896年ブフナーによって証明されたことによる。その後、酵素の研究はそのまま生命活動の本質の解明に繋がり、今日に至っている。」と生化学の教科書に説明があります。
生命活動の本質であり、酵素の量と活性度が健康状態に大きく影響します。
人間にとって酵素は”体内酵素”と”食物酵素”に大きく2種類に分けられます。食物酵素は”対外酵素”とも言い換えることができますが、発酵食品は対外酵素ということになりますね。
酵素の考え方|献立作成時に無視されている現代の栄養学 – ピューレの森 (puree-nomori.com)
ここ近年は健康ブームにより発酵食品も注目されていますが、新型コロナウイルス感染症拡大によりさらに免疫力アップを期待して、発酵食品を意識して摂り入れる方が多くなりました。
発酵食品を摂り入れることで疲労回復、疾病予防、健康増進、美肌などの様々な効果が期待されます。
乳酸菌は毎日摂り続けることで善玉優位になり、摂取をやめると3日程度で元の腸内環境に戻ってしまうと言われています。
漬物の発酵過程
あらためて、野菜が発酵するって一体どういうことなのでしょう。
空気中には様々な菌が浮遊しています。
それは人間の目線で勝手に善玉菌、悪玉菌(腐敗菌、病原菌、食中毒菌など言い方は様々…)などと区別をしているだけで、地球上には数百万とも言われる数えきれないほどの菌が存在しているのです。
O-157で知られる腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌などの食中毒菌も、乳酸菌と同じ微生物です。
空気中に菌が浮遊しているわけですから野菜にも様々な菌が付着しています。それは人間に害のある菌も、有益な効果をくれる菌も、両方です。
ではなぜ漬物は乳酸菌が増えて腐敗菌や食中毒菌は増えずに安全に食べられるのでしょうか。
漬物になるための一番の大きな特徴は「塩」です。簡単に説明すると、乳酸菌は”好塩菌”と言って塩が大好きです。さらに塩によって雑菌や腐敗菌が繁殖しにくい状態になります。
そして発酵です。乳酸菌によって乳酸や酢酸がつくられると、腐敗菌や悪玉菌の嫌いな”酸性環境”になるのです。乳酸菌自体は酸に強いので、腐敗菌や悪玉菌を寄せ付けない環境を作れるというわけです。
この入れ替わり現象は時間をかけて少しずつ変化していくそうなので一夜漬けや浅漬けのような漬物は発酵しているとは言えないのですね。
米ぬかも発酵します
米ぬかにも乳酸菌をはじめ、酵母やその他さまざまな菌が付着しています。
「ぬか漬け」というのは「ぬか床作り」からがとても大切ということは皆様ご承知の通りかと思いますが、そのぬか床に漬け込んだ野菜は、微生物菌の力により保存性が良くなります。
野菜が長期保存されるだけでなく、より美味しくなるのです。何とも表現しにくい爽やかな香りと酸味、そして食感と味付け…
ぬか床に漬け込むだけで野菜が長期保存され、美味しく変化する。微生物の力に驚かされます。
米ぬかが栄養学の原点!?
ぬか漬けの歴史は江戸時代初期と言われていますが、何で昔の日本人は捨てられた米ぬかを使おうと考えついたのでしょう。
白米を食べる習慣は公家などの上流階級に限られたのですが、この頃より都市部の一般庶民の間でも白米を食べるようになったそうです。
一方、地方では白米は正月など特別な日にしか食べられない高級食材で、普段は玄米が主食でした。
この頃から「江戸患い」や「大阪腫れ」と言われる病が都市部で流行り始めたのですが、江戸で体調を崩した者が故郷に帰ると治ってしまったそうです。
当時は国民病と恐れられていましたが今となってはビタミンB1不足による脚気であったことがわかっています。
当時の人たちは精米の際に出る米ぬかに栄養が豊富であると経験から知り、このぬかを使って漬け込む過程でぬかのビタミンB1が野菜に吸収されるため、ご飯のおかずとして食べ脚気を防いでいたと言われています。
1920年、“栄養学の父”として海外でもその名を知られている佐伯矩医師が世界初の「栄養研究所」(私立)を創設。
その後、栄養指導の専門家を育てる世界初の学校として「栄養学校」を設立、卒業生を「栄養士」と名付けるようになりました。
国民病であった脚気の原因が精白米食によるものであり、米ぬかが脚気を予防できることが解明されると、七分精米の無洗米を食べることを推奨しました。
これにより多くの国民を脚気から救ったという功績が残されています。
米ぬかは栄養価が豊富
玄米を精白米にすると10%程度の米ぬかが出ますが、この10%の方に栄養価が詰まっています。
玄米と精白米とで比較すると、このようになります。
<100g当たり_日本食品成分表2020(八訂)>
エネルギー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネ シウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | |
玄米 | 346 kcal | 6.8 g | 2.7 g | 74.3 g | 1 mg | 230 mg | 9 mg | 110 mg | 290 mg | 2.1 mg | 1.8 mg | 0.27 mg |
精白米 | 342 kcal | 6.1 g | 0.9 g | 77.6 g | 1 mg | 89 mg | 5 mg | 23 mg | 95 mg | 0.8 mg | 1.4 mg | 0.22 mg |
レチノール活性当量 | ビタミンD | αートコフェロール | ビタミンK | ビタミンB1 | B2 | B6 | B12 | C | |
玄米 | Tr | (0) | 1.2 mg | (0) | 0.41 mg | 0.04 mg | 0.45 mg | (0) | (0) |
精白米 | (0) | (0) | 0.1 mg | 0 | 0.08 mg | 0.02 mg | 0.12 mg | (0) | (0) |
このように比較すると、精米されて捨てられるぬか自体に栄養素が豊富に含まれていることがわかります。
例えば以前ご紹介したビタミンE(表記はαートコフェロール)も、これだけ違いがあります。
・玄米1.2mg
・精白米0.1mg
”ぬか”にこだわり続けて40年の匠|「食べるぬか」
看板商品の「乳酸発酵白菜ぬか漬け」はぬかを洗い流す必要がなくそのまま食べられる、無添加の美味しいぬか漬けです。
そのこだわりのぬかを、ぬかだけで食べられるようにと商品開発しました。
良質な米ぬかを探して現在は山梨県から取り寄せ、「食べるぬか」としても商品として販売しています。
初めて試食した時は味の想像もつかず少しドキドキしながら口にしましたが、旨味が凝縮されていてとても美味しかったです。
御主人はこれを毎日ティースプーン1杯分をヨーグルトに入れて食べているのだとか。植物性乳酸菌と動物性乳酸菌を同時に摂取することで拮抗作用を期待して摂取しているそうです。
独学で研究、身体にも良いことづくめのぬか漬け
御主人は御年85歳ですが健康診断の結果は血液サラサラ、コレステロール値も抑えられ、血圧も安定しているというのです。
お肌はツヤツヤで半袖で過ごされていて、身体がポカポカするから冬でもコートはいらないというのです。
ほとんど体調を崩したこともなく、小さな文字もスラスラと読めて腹筋は一日で60回できるというから驚きです。
いつまでも健康なのはただ単に発酵食品を食べているからではなく、ぬかと発酵食品、野菜の組み合わせに理由があるのではないでしょうか。
御主人は「超能力微生物」という本を教材にし繰り返し読みました。「これだ!」と思うポイントには線を引き丸を付け、何度も読みあさって漬物作りに活かしてきました。
古来から日本人は、麹(酒)、味噌、醤油など、微生物のはたらきを利用した食品を大切にしてきた。発酵によってアミノ酸など「うまみ成分」が増し、保存期間も長くなる。また、健康維持に「腸内細菌」が大きな役割を果たしていることも近年わかってきた。まさに人類は、微生物に支えられて生きてきたのである。
文藝春秋BOOKS 「超能力微生物」小泉武夫
それだけではない。この地球上には人類が考えもつかないような“超能力”をもった微生物が、まだまだ無数に存在していることが明らかになってきた。
その探究心が商品となって、私には欠かすことの出来ない”貴重品”となりました。想いの詰まった看板商品に、感謝の気持ちしかありません。