私は佐々地区世知原町4Hクラブ代表髙橋であります。
唯今より水田裏作利用による経営改善について研究発表を致します。
私の部落は世知原町の中間部に位する所であります。
この世知原町は近年石炭産業が發展し私の地区にも昭和二十二年に炭坑開發事業が起工され、このため全耕地の1/3を買収されたのであります。其の後二十九年の地区の耕作面積は一戸平均八反四畝となり現在では零細農に落ちいっているのであります。
又耕地の八五%が水田でありますが、この水田の反当収量は二石前後であります。其の上、水田裏作利用率極めて低く全耕地の40%にすぎません。このため水田経営主体の地区でありますため農家経済は極めて苦しいのが實態であります。又生活苦況から生れた兼業農家の年々増している事からみてもうかがわれます。そこで私は逼迫する経営の打開は急を要することだと考え経営改善の問題と取り組みました。
これは私個人の問題ではなく地域社会の大きな問題でもあります。
この表でも解りますように私の経営では換金作物が少く又現金収入の少い経営であります。
そこで私は水田地力の増進と換金作物の導入がまづ大切だと思い、私はこの表のような水田裏作利用蔬菜栽培を四年間計画實施致しました。
(第一表・第二表説明)
こうして三年間水田裏作蔬菜栽培を實施して参りました結果は第三表の通りであります。
まづ作物事業別の収入支出を計算してみますと(第三表参照)
以上が私の水田裏作實施による裏作物の収支決算でありました。
私は換金作物として蔬菜を取り入れた事に依り今までの主要作物主体の裏作の場合にくらべますと現金収入に有利である事がわかりました。
次に私は水田裏作を行ったことにより年間の反当収入は裏作前とどのように変わるかを調査してみました。その結果がこの図表の通りであります。
(第三表・第四表説明)
特に水稲の反収は裏作前にくらべますと年々増加してきました。私は裏作實施によって地力の増進が如何に大切かということを物語て居ります。この事から水田裏作の推進を図ることは地力の乏しい私の地区では特に大切であります。
私は裏作に蔬菜を10アール作付した事とニワトリの飼育羽数の増加した事が研究に取り前と取り組んだ後の違いでありますが其の結果は第五表のとおりであります。
(第五表説明)
この事から生産を上げるためには農業支出も多くしなければ生産は拡大しない事を私は腸さ結果から教えられました。今後は経営の合理化を図るため私は水稲の早期栽培又晩期栽培を實施し畜産部門の収入の増加を計る事が今からの農業経営をより合理的にみちびくものと考えられますので裏作物には蔬菜の栽培・飼料作物の栽培等を現在計画致して居ります。又早期栽培を實施する事は私一人では解決する事は出来ず、その対策に日夜頭を痛めていました矢先部落座談会が開かれ縣の今後の早期栽培の推進とその遊離性について普及員さんの話がありました。
其の後部落の人達の関心も非常に高まって来ましたので来年度は相当面積實施可能と考えられますのでこの桟をはずさず早期栽培を強力に推進し季節的にかたよっていた労力の配分地力維持のため主要作物又は換金作物の栽培の面積を増加し不況に落ち入っている私たちの地域の農業経営を合理化し明るい農家生活を築くことが大切だと思います。
又換金作物を導入する上においては共同活動によって始めて可能になるものと思われます。
今後は多量生産に励み市場を開拓し地域特産物を生みだすための栽培技術の研究に販売体勢の確立にと若き吾善青少年はいかなる時代にも安定した農業経営がいとなまれるようその基盤を作る事が新しい村作りの目的でもあると思います。
今後はますゝ研究に励み地域産業の進向を図る事をちかいまして私のつたない發表を終らせて頂きます。