保険外サービス|ご利用者さん宅へ毎週作る料理のご紹介

保険外サービス|ご利用者さん宅へ毎週作る料理のご紹介

皆さまこんにちは。本日は私が毎週訪問している利用者さん宅のご飯の紹介となります。具体的にどんなことを仕事として料理しているか知り合いから聞かれることが時々あるため、あるおひとりの例となりますが何かの参考にして頂けたらと思います。
管理栄養士としての仕事ではなくただ普通に料理代行として行っているだけですが、高齢者の方を相手に料理を提供するためこちら側が不安に感じることは先にお伺いするようにしています。

目次

訪問の頻度、作る料理のボリューム

✓毎週一回の訪問
他の方が別の曜日に週一で入っていて、だいたい5品を3日分程度作り置きするという流れ

✓一回の訪問で2時間の作業
そのうち徒歩5分のところにあるスーパーに食材を買いに行くため、正味1時間半程度の作業
5~10分_先に挨拶で寄り、手を洗ってから冷蔵庫内など食材の在庫確認、お話しながら要望の有無確認
10分_徒歩5分、往復
10~15分_買い物

在庫や要望を考えずに買い物に行ければ5~10分は時短になるのですが、品物の陳列場所も慣れていなくレジの混雑具合によっても時間がかかるため料理を作り始めるまでに結局30分はかかってしまいます
(特にこちらのスーパーはコンパクトで品揃えが限定的なため、たとえばアサリの砂抜き真空パックの商品や乾燥キクラゲが無かったりと、探す時間、無い場合の別の食材探しなど、私も効率が悪く慣れるまでに時間がかかってしまっています…)

料理を作る前に確認しているポイント

✓既往歴
糖尿病、他不明(特に無いと回答されるため)

✓薬と食事の組み合わせによる禁忌食材
無し

✓咀嚼、嚥下の状況
食材の大きさや飲み込み状況を確認、特に無し

✓好き嫌い・アレルギーの有無
好きなもの:カレイの煮付、魚、レタス、きゅうり、果物、さっぱり系
嫌いなもの:肉(特に豚肉)、揚げ物、鮭、塩焼き、ツナ缶、車麩、こってり系
購入してから、また作ってから嫌いと言われるケースもある。

訪問、ご挨拶して冷蔵庫の在庫チェックをしてから買い物へ

何を作るかをある程度考えてから行くのですが、在庫の生鮮食材があったりスーパーで特売商品を見かけると思わずそちらを購入してしまったりと、予定を変更することの方が多いです。
しかし食材が変わるだけで調理法や味付けが変更になることはあまりないため、大きな変更なくある程度は予定通りの料理を作っています。

ご利用者さん宅にある調理器具で対応

当然のことですがそのお宅にある器具をお借りして料理します。こちらのご利用者さんの場合、鍋が4つあり茹でる・煮る・炒めるが良いバランスで作れるサイズの鍋のため使い勝手がとても良いのですが、自分の作る料理をよく考えないと使いたい鍋が空かないという効率の悪いことが時々発生します。
電子はかりもあるお宅ですが私はいつも計量カップと軽量スプーンで作業します。

作った料理のご紹介

初めて訪問した時と3回目の料理はこちらの記事でご紹介しました。

野球と料理の共通点|※スポーツ栄養とかの話ではありません(´・ω・) – ピューレの森 (puree-nomori.com)

この3回目の時の感想は、やっぱり煮付がおいしくないとのことでした。それとピクルスもお口に合わなかったようですが、それ以外のシチュー、きんぴら、お浸しはおいしかったと言ってくれました。
そこで私の作る煮魚の調味料の配合とご利用者さんが普段作っていたレシピを教えてもらい比べてみたのです。
こってりと煮詰めた煮付が好きと仰っていた通り、私の方は水に対して調味料も少なめでした。
そのため、こちらのレシピで次回以降作るようにしています。

自分の用意したレシピ:水100 酒大1 砂糖小1 みりん大1 醤油大1
ご利用者さんのレシピ:水100 酒大1.5 砂糖大1.5 みりん大1.5 醤油大2

高齢者に塩分濃いめは良くないと思われるかもしれませんが、翌週行っても容器に入ったままで残っていて手を付けていないため、食べなくて低栄養になってしまう方が心配になってしまいます。出来れば残さず食べてほしいと思い、極端なものでない限りは嗜好に合わせるよう心がけています。

20220118

1月18日
南瓜のいとこ煮がすごくおいしかったと言ってくれました。糖尿病患者には病院では絶対に提供しない料理ですが、これまで出汁をきかせた煮物を何度か作ってきたのですが毎回おいしくなかったと言われていたため今回は甘煮にしてみました。
この時は頂き物のお魚料理があるとのことで副菜だけ作っています。

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20220208

2月8日
牡蠣のちり蒸しは新聞の切り抜きでリクエストあり作ったものです。お一人で暮らしているため1パックの牡蠣を残すわけにもいかず、全部入れています。
お一人暮らしの場合、使い切れずに残ってしまう食材などがあるため毎回難しさを感じます。とりあえず今は無理してでもこのように使ってしまっています。

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20220215

2月15日
スナップエンドウのレモンマリネは食が進んですごくおいしいと言ってくれました。

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20220405退院後

4月5日
退院後、訪問再開時です。約2か月間空いたとはいえ、ぜんまいと竹輪の炒り煮が丸被りしてしまっていました…
入院していた時の食事のお話をしてくれた中で、果物が出てこなかったからすごく辛かったとお話されていました。
これまではこちらのご利用者さん自身でも軽いものなら買い物行けたのですが、まだしばらく安静にしなくてはいけないためお話を聞いて次回からは果物も買ってこようと思いました。

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20220412

4月12日
セロリは在庫してあった浅漬けの素を使用していますが、漬物作り器使ってほしいとのことだったので雰囲気だけでも押して使用しています。

左上は麺つゆがなくてそうめんが食べられないと困っていたため、とりあえず今回は手作りで置いてきました。
左下はチジミのタレです。もう一人の方が前回ニラチヂミを作ったそうですが食べ方がわからなくて手を付けていないとのことでしたので、タレを作り、チヂミの説明をしてきました。
後日、会社の方に「チヂミがおいしかった」とハガキが届いたそうです。お会いしたことの無い方との連係プレーが出来ているなら嬉しいです(笑)

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20220419

4月19日
右上のエビと野菜の中華炒めは、前回のニラチヂミのニラが余っているのを使い切ってほしいと要望があり、中華炒めにとタケノコと合わせて作りました。

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20220426

4月26日
この日は在庫食材が多くあり、あるもので作ってくれればそれで良いとのお話になりました。その分時間取れたため長芋をすりおろしてとろろの磯辺焼きにしています。

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20220503

5月3日
野菜をいっぱい食べたいとよくお話されるため毎回野菜料理を意識して作ります。
今回はブロッコリーと、好きなレタスのサラダにしようと思ったのですがブロッコリー1株分ボイルしたらお宅にある一番大きな容器にも入りきらず、別盛りになってしまいました。
しかし翌週行ったらブロッコリーだけを残してしまっていたため、飽きてしまったのかもしれません。毎回難しさを感じますが、1週間で食べきってもらえるよう味付けの変化などもっと工夫したいと反省です。

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20220510

5月10日
前の週は南瓜とブロッコリーでゴロゴロ系、今回は切昆布と春雨サラダで細長いものが被ってしまいました。あまりゴロゴロしているものばかりでも食べつかれてしまうかもしれませんし、細長いものばかりでも見た目も食感も飽きてしまうと思います。毎週反省ばかりです…

左下はセロリが好きだからとこの時も浅漬けにしたのですが、翌週に「そのままで食べたい」とのお話があったため次回はレタスサラダに生で混ぜることにしました。

余談になりますが当日訪問して知ったのですが、この日が誕生日とのことでした。私の母親と同じ誕生日でビックリと同時に嬉しくて、コンビニでケーキを買って一緒に食べました。コロナなどの心配もあるので嫌じゃなかったら一緒に食べませんか?と聞いたら喜んでくれて、いつも一人だからケーキなんて食べる気持ちにもならなかった、嬉しいと言ってくれました。
アイキャッチ画像のお花は、誕生月の方にデイサービスから頂いたカーネーションと、息子さんから頂いたカラーのお花です。とても綺麗だったのでお断りして、写真を撮らせて頂きました。

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20220517

5月17日
この日は知り合いの畑で採れたラディッシュを頂いたため持っていってみました。
嫌いでなければピクルスに…と思いお話してみたところ、喜んで下さったのでピクルスにしました。また、ご利用者さんも新玉葱を頂いてたくさん余っているから使ってほしいとのことだったため、新玉葱は生のまま、ラディッシュは辛味が強いためボイルしてから酢漬けにしました。ラディッシュの皮の赤が溶けて全体的にほんのりピンク色に染まり、とても綺麗です。

以前ピクルスを作った時はおいしくなかったとのことでしたので今回は調味液をシンプルなものに変更しました(水、酢、砂糖、塩のみ)。前回はにんにく、唐辛子、こしょう、オリーブオイルなど他にも入れていたのでそれが良くなかったのかもしれません。今回の酢漬けで問題なく食べられたか、翌週聞いてみたいと思います。
またこの日はカレイが店頭になかったため真鯛で煮付にしています。

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写真で振り返り、毎週同じような料理を実感…

このように写真を並べてみると同じような食材ばかりに偏ってしまっていることがよくわかります。
なるべく旬の食材も取り入れたいと思っていたのですがスナップエンドウばかり目立ってしまいます。彩にと赤と黄色のパプリカを使うのですがもう一人の方はあまり使うこともないようで毎週訪問のたびに私が使って残したまま冷蔵庫に残ってしまいます。結果、毎回レタスサラダに同じ切り方で入れているためいつも同じようなサラダになってしまっていることがわかります。好き嫌いが多いとどうしても好きな食材中心になってしまうのですが、もう少し他の食材も使ってみようと思いました。作ってから「これは好きじゃないの」などと言われてしまうことも時々あるため新しい食材を使用するのは勇気がいりますが、それを避けているとこのように毎週似たり寄ったりの料理になってしまうことも反省点として振り返ることができるため、チャレンジしてみようと思います。

調理法も、やはり一番怖いのは食中毒なので私は生ものをあまり用意したくありません。こちらのご利用者さんも現役の頃は調理師として働いていた方なのでご理解は下さっていることとは思いますが、作り置きに生ものは提供できないため茹でる、煮る、炒める(揚げ物は嫌い)ばかりです。
これも変化がないことの要因になっていますが食材や切り方、味付けで変化をつけて食が細くならないよう、食べてもらえるように工夫していきたいと思います。

さいごに|介護保険と保険外サービスの違いを理解して器用に頼める利用者さん

4月26日の訪問時は買い物もなく時間があったのでずっと気になっていた冷蔵庫内の拭き掃除をしました。時間があるので冷蔵庫内でも掃除しましょうか?とお声がけしたら、ちょうど頼みたいと思っていたと返事がきました。
介護保険での訪問の場合、こういった「ついでに予定以外のことをやる」ことができません。私は保険外サービスでの訪問のため、それを最大の利点と思って心がけて訪問しています。こちらのご利用者さんは要支援から退院後に要介護1になりました。介護保険を利用している中での保険外サービスも併用しているのですが、「今まで介護保険のことよくわかってなかったけど、早めに保険外サービスの方も利用していて良かった、違いが何となく分かってきた」と仰っていました。

私自身も介護保険のことはよくわかっていません。介護保険が施行されて22年目ですが、そういった方は多いと思います。実際に他の要支援の利用者さんからのご意見で、「何で私は介護保険を使えないの?何で自費で負担しなくちゃいけないの?」と言われたことがありました。地域包括のケアマネさんからの紹介で私が入ったのですがそのような声が挙がる方がまだまだ現実的かなと思っています。

退院直後はお風呂に入るのも医師から止められていたそうです。自宅で夜中に転倒し肋骨を圧迫骨折して入院したため、退院後も絶対安静と言われていたとのことです。一人でいてお風呂に入るのは危険だから誰かがいる時にと指導を受けたとのことでした。
私が料理作りで入った時にそのことをお話されて、だから今からお風呂に入るから何か異変があったらよろしくね、と言われました。私も二つ返事でお受けしたのですが「断られたらどうしようと思ったけど、分かってもらえてよかったわ。久しぶりにお風呂に入れる、嬉しい」と言ってお風呂に入られました。

介護保険制度は大変有難いものです。私もいつかお世話になる時がくるかもしれません。でも現実的には介護保険でできない「ついでのお願い」がよくあると聞きます。私は保険外サービスとして好きにやらせてもらっていますが(誕生日だからってケーキを買って一緒に食べる、なんてこともやってはいけないのかな…と考えながら介護保険の難しさを想像していました)、利用する側も介護保険の仕組みを理解する必要があること、また介護保険の制度を最大限に活かしつつ、でも出来ないことにも対応できる民間サービスもあることに利点を感じています。

このようにして日々勉強させてもらいながらこちらの利用者さん宅へは週1回訪問しています。
あまり参考にならないかと思いますが私の個人的な報告でした。
最後までお付き合い下さいまして、有難うございました。